著者 |
加藤 大輝*(東邦大学) 西廣 淳(国立環境研究所) |
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要旨 | 千葉県北西部には谷津と呼ばれる小規模な多数の谷が存在する。谷津の谷底はかつて豊富な湧水を利用した水田(谷津田)として利用されてきたが、現在では耕作放棄が進行し多くが開発の対象となっている。私たちは、谷津の耕作放棄水田に注目し、湿地の植生と生態系機能の評価を行ってきた。本発表では、地域住民と協力して進めている活動について紹介する。ここでは50年ほど前に放棄された谷津田で湿地再生を行っている。地域住民は、子供や地域の人々が自然と関わる場の創出を目的としており、それと矛盾しない形でグリーンインフラとしての機能を持つように工夫している。どのような活動が行われてきたのか、また今後の展開について発表する。 |
著者 |
金清典広(高野ランドスケーププランニング株式会社) |
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要旨 | 道立公園を自然の営力を活かした公園づくり。その場にふさわしい手入れによるり、場の固有性を際立たせ、多様化を増進させた取り組み。 |
著者 |
竹下博美(ベーテル麻機部会) |
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要旨 | 麻機遊水地は本来治水施設であるが、遊水地には湿地や樹林地など多様な自然環境があり、多くの動植物の生息・生育の場となっている。 また、遊水地周辺には、病院、支援学校、福祉施設等が隣接していることから、障害者の方も遊水地の自然の中で気軽に活動ができる福祉農園を整備し、ベーテル麻機部会のメンバーと障害者が連携して田植えや収穫作業を行っている。 また、この水田活動を通じて、水田環境に依存する動植物の保全活動にも取り組んでおり、今回は遊水地における障害者と連携した取り組みについて発表する。 |
著者 |
岩本 英之* (東京大学) 田原 大輔(福井県立大学) 吉田 丈人(総合地球環境学研究所・東京大学) |
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要旨 | 圃場整備に伴って水田と断絶し、コンクリートで覆われた整備済み水路における水生生物の分布とそれに影響する要因の解明は、広範な地域での保全に繋がると期待される。福井県北川流域の24調査区で8月、10月、翌6月に採捕調査を行った結果、魚類ではドジョウやアブラボテ、大型水生昆虫ではヤゴ類やゲンゴロウ類の恒常的な生息が確認された。魚類群集では、水深が深い水路では遊泳魚の占める割合が増加し、水位低下に対する耐性が魚種によって異なる点が示唆された。大型水生昆虫群集では、半径500m程度の集水域内で種構成が類似する傾向があり、水田における先行研究でみられる景観要因や農法の影響が示唆された。 |
著者 |
山田 久太*(名古屋大学) 白川 博章(名古屋大学) 谷川 寛樹(名古屋大学) 深堀 秀敏(北九州市立大学) |
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要旨 | 木造住宅は、森林が吸収した二酸化炭素を長期間に渡って社会に固定する効果を持っている。また、近年では流通時の環境負荷削減等の観点から、木材の地産地消が推進されているが、木材需要量が大きい都市において木材の地産地消を推進した場合の環境への影響を評価した研究は少ない。都市での木材の地産地消の推進による環境への影響を把握することは、今後の地域の資源循環や森林の整備を考える上で重要である。 本研究では、北九州市を対象として、木造住宅の地産地消を考慮した都市における木材の需給バランスの将来推計を行うとともに、木造住宅の地産地消の推進が人工林の炭素ストック量に与える影響について検討した。 |
著者 |
三谷徹(千葉大学) 鈴木裕治(オンサイト計画設計事務所) 中村智子*(オンサイト計画設計事務所) 本田亮吾(オンサイト計画設計事務所) |
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要旨 | 山形県鶴岡市の庄内平野に広がる水田の一部を開発して新産業拠点とするプロジェクトである。原風景である屋敷林と田んぼの構成の中に、ホテルや研究施設、保育施設などを建築するにあたり、既存の水田をGreen Infrastructureとして改編しながら、新たな景観をつくりだしている。屋敷林と共に湿地となる水田が連続して多様なビオトープを形成させ、生態系連鎖を持続させており、管理運営についても無農薬有機農法の稲作として、持続可能な田んぼのサイクルを保持し、井戸の揚水から熱エネルギーを利用した後に田んぼに流し込む活用方法を用いて、多様な生態系保持、水質保全も可能な広義に渡るGreen Infrastructureが展開されている。 |
著者 |
高橋靖一郎*(株式会社LPD) |
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要旨 | グリーンインフラを緑と水の系として捉えた場合、森林資源の活用の課題解決が急務である。市場価値が高い状態にあるスギ・ヒノキ林は荒廃が懸念されるが、合板技術の進歩により建材として活用を図る動きも見られる。こうした動向に対して都市更新における木を活かしたまちづくりの推進は、森林資源の流通を活性化させ、グリーンインフラの健全化、多様性の向上に寄与し、持続可能な生活環境の維持につながる。グリーンインフラは自然と人々の暮らしとの有機的なつながりを風景のなかに可視化させる行為と言える。本件は、まちなみの建築の木質化をテーマとして、自然と共生する価値観を醸成させる新たな生活様式の提案を試みるものである。 |
著者 |
西廣淳(国立環境研究所) |
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要旨 | 社会システムや生態系が強い撹乱から回復する際、平常時では「役に立たない」と思われていた存在が役に立つ。グリーンインフラのメリットである変動性への強さや回復力の高さを支えるのは、そのような機能の不明確な、あるいは機能的に冗長な存在である。発表では、江戸時代に編纂された救荒書(飢饉のときの食べ物をまとめた書物)で挙げられた雑草を入り口に、雑草、雑魚、ただの虫など、グリーンインフラにおける「雑」の価値について議論する。 |
著者 |
幸福 智(いであ株式会社) 垂 秀明(いであ株式会社) 入澤 友香(いであ株式会社) 伊勢 慧*(いであ株式会社) |
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要旨 | 森林は土砂災害防止や土壌保全、水源涵養といったグリーンインフラとしての機能に加え、生物多様性保全や地球環境保全、物質生産等の非常に多面的な機能を持っている。気候変動による災害の激甚化が表面化しつつある昨今の状況においては、防災・減災や環境保全に関する機能の効果的な発現が重要である。「生態系を活用した防災・減災に関する考え方」(環境省)によれば、リスクとは生起確率に加えて災害の暴露や脆弱性を含むものとされている。そこで演者らは、従来の評価方法にはほとんど事例が見られない、災害の暴露といったリスクの概念を含んだ森林の多面的機能の指標作成に取組んだ。 |
著者 |
清野聡子*(九州大学大学院工学研究院) 永冶克行(五島自然塾) |
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要旨 | 長崎県五島列島福江島では「円畑」と呼ばれる円や不定形な畑が沿岸の溶岩台地に広がっている。「円畑」は牛馬耕時に便利な形と言われてきたが、調査の結果、円、楕円、不定形のモザイクは台地の凹凸にほぼ対応していた。それを縁取る防風林は、椿などの常緑樹の線状の里山である。円畑の造成法は溶岩台地の勾配により異なっていた。三井楽では溶岩塊、富江は粗い切石を使っていた。近年の同地での豪雨後でも畑の水はけが良く、自然条件に適した工法と農業者は述べている。階段状の円畑は土砂災害の減災に役立つ。畑の間の網目状の道は大雨時には排水路となり、海への急激な流入や濁水軽減をし、磯の漁場環境保全にも寄与している可能性がある。 |
著者 |
皆川朋子*(熊本大学) 大内憲人(熊本大学) 鹿児島昂大(鹿児島大学) shakila kayum (熊本大学) 島谷幸宏(九州大学) |
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要旨 |
令和2年7月豪雨において球磨川流域で甚大な豪雨被害が発生した。本研究では、球磨川流域における地域資源、地域が抱える課題、水害に対する脆弱性等について、既存資料、ヒアリング及び水理シミュレーションにより評価し、これを踏まえ、地域の持続性を担保する流域治水やグリーンインフラのあり方を検討した。
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著者 |
豊田光世*(新潟大学) 高島徹(新潟大学) 北愛子(新潟大学) 中川克典(佐渡市) |
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要旨 | 過疎化・高齢化が深刻となっている中山間地域では、農地の放棄と荒廃が進み、多面的機能が徐々に低下しつつある。機能の復活には、農地の継続的な利活用やマネジメントが不可欠であるが、人口および社会関係資本の減少が困難を生じている。著者らは、2019年から新潟県佐渡市において「里山農業の未来デザイン」という事業を開始し、荒廃が進む農地再生の可能性を検討してきた。佐渡市はトキとの共生という目標のもと農業政策を展開してきたことから、生物多様性を手がかりに課題解決を試みている。本発表では、農村GIの再生に不可欠の地域参画に焦点を当て、GI機能強化に取り組む社会のしくみづくりをコミュニティデザインという観点から考察する。 |
著者 |
須之部 大*(一般財団法人公園財団) 椎名 春菜(一般財団法人公園財団) 緒方 京一(一般財団法人公園財団) 平松 玲治(一般財団法人公園財団) |
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要旨 |
国営アルプスあづみの公園(以下、「あづみの公園」という)は、「自然と文化に抱かれた豊かな自由時間活動の実現」を理念としているため、環境学習等に携わる人材の支援・育成を図る拠点施設の整備や、地域の特性を活かした蕎麦打ち体験や自然観察会等のプログラム提供等により、あづみの公園内における自然環境や周辺を含んだ景観の保全・活用を進めている。本発表では、あづみの公園と地域の関係者が協働して、稀少種のチョウである「オオルリシジミ」の保全に取り組むことで、公園を含めた地域において、地域固有の景観の復元や継承、環境保全に対する意識の啓発等に寄与した事例について報告する。 |
著者 |
宮本 加奈*(東京大学) ランディ・ザーマン(南太平洋大学) ジョエリ・ベイタヤキ(南太平洋大学) 吉田丈人(総合地球環境学研究所/東京大学) |
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要旨 |
伝統的な資源管理は環境や伝統文化などの様々な条件に適合するよう各地域で独自に生み出されてきたと考えられる。太平洋島嶼国であるフィジー共和国のガウ島も伝統的な資源管理や利用が存在する。ガウ島の資源管理は村のコミュニティルールに従う形で進められており、ルールに変化が生じると、資源管理に影響しているようである。島内に存在する16村を対象にした伝統的な植物療法の実態調査では、資源管理の質に村間で違いが見られた。そこで、本研究は、伝統的資源管理の実態を明らかにし、Ostrom (2009) が提示した社会−生態システムの持続可能性分析枠組みを利用し、資源管理に対する村の社会経済的要因の影響を統計分析を用いて試験的に分析した結果を紹介する。 |
著者 |
山下三平*(九州産業大学) 阿野晃秀(京都先端科学大学) 岩隈仁((株)立花建設) 丹羽英之(京都先端科学大学) 深町加津枝(京都大学) 佐藤正吾((公社)京都市都市緑化協会) 森本幸裕((公社)京都市都市緑化協会/京都大学) |
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要旨 | 我が国で都市グリーンインフラとしての雨庭の普及を進めるには、そのデザインと管理を風土にあわせる必要がある。本研究では伝統的な雨庭としての機能が想定される禅寺の枯山水庭園の雨水管理を調べる。これを踏まえ、企業の事務所敷地に雨庭を導入する試みを実施する。後者においては、雨水の挙動だけでなく、地域の自然条件や住民の意見を取り入れる。そうすることで、地域雨庭としての、面的な都市グリーンインフラの波及効果を期待する。対象の寺院は京都市の相国寺と太宰府市の光明寺である。事務所敷地は福岡市の近郊に位置する企業である。本研究はプロジェクトの初期段階を報告し、今後の雨庭のデザインの在り方を考える。 |
著者 |
村山克也(株式会社エイト日本技術開発) 北畠華*(株式会社エイト日本技術開発) 黒田琴絵(株式会社エイト日本技術開発) |
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要旨 | 本研究では、都市地域における都市公園や屋上緑化等のグリーンインフラが有する健康増進や熱環境の改善効果について、将来的には行政目標に活用することを目的とした定量化の取組みについて紹介する。健康増進効果については、国営昭和記念公園の来園者(シルバー)を対象とした歩行数調査に基づく医療費縮減効果の試算、熱環境の改善効果は、屋上緑化の植栽タイプ別の天井スラブ面の表面温度差に関する実証実験結果について報告する。 |
著者 |
立場 紡*(東京都市大学) 横田 樹広(東京都市大学) 丹羽 由佳理(東京都市大学) |
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要旨 | 高度に土地利用が発達した都心部の河川流域では、河川空間自体が限定的であり、周辺の街と河川との関係性のなかで、平常時と豪雨時の生態系サービスの両立を図っていくことが必要である。一方で、河川沿いの地区と川との関係は、その立地環境や社会特性に応じて異なる。本研究では、東京都・港区の古川流域において、「古川の水」「古川沿いの緑」「古川流域の街の水と緑」の異なるスケールの水と緑を対象に、平常時・豪雨時におけるそれらの機能に対する住民意識を把握した。川へのアクセス性、浸水リスクなどの特性の異なる地区に応じてそれらの違いを分析することで、地区に応じて重要となる防災・環境機能のシナジー条件について検討した。 |
著者 |
吉澤 眞太郎*(設計組織プレイスメディア) 吉村純一(設計組織プレイスメディア) 水越英一郎(株式会社 山下設計) |
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要旨 | 早稲田大学37号館・早稲田アリーナは、早稲田大学戸山キャンパスに位置する多機能型スポーツアリーナを中心とした複合施設である。建物ボリュームの大半を地中に埋設し、地表面を緑地として開放することで、谷戸地形の地域環境構造に緑地を組み込み、生態系ネットワークの中継地となっている。またレインガーデンや植栽基盤による雨水の一時貯留の機能を果たしつつ、「戸山の丘」は新たに学生や地域に開放され、キャンパス内に新たな交流・活動スペースを生み出している。 |
著者 |
ルプレヒト クリストフ*(総合地球環境学研究所・FEASTプロジェクト) 吉田 葵(アオイランドスケープデザイン) 崔 麗華(京都大学農学研究科・森林科学専攻) |
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要旨 | 本研究は人口減少やポスト成長社会の背景で、縮小予想の地方都市の暮らしや緑づくりをマルチスピーシー ズ(人間の枠を超えた共生)の観点から再考する。スポンジ化で増加する空地を利用した社会・生態的再生 にむけて、様々な生きものに作られ楽しむ空間のデザインコンセプト提案について、構成・25年間の環境 変化・循環を含めて、京都市左京区岩倉地域の例で検討する。 |
著者 |
木田 幸男*(一般社団法人グリーンインフラ総研) 松本 知美(一般社団法人グリーンインフラ総研) 中島 洋一(東邦レオ株式会社) 太田 太郎(東邦レオ株式会社) 武田 治夫(東邦レオ株式会社) 車 周輔(東邦レオ株式会社) 高村 聡(東邦レオ株式会社) 宮田みづき(東邦レオ株式会社) |
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要旨 | 微気象改善、雨水貯留浸透、生物との共生、植栽の健全な生育、人への快適性など、レインガーデンの導入により実現される効果への注目度が高まっている。基盤の仕様や維持管理まで計画立案段階から考慮することで、機能性がさらに高まり、とりわけ都市部での採用によりコミュニティ形成や空間の価値向上にもつながる。 |
著者 |
古田尚也(としまグリーンインフラ研究会/大正大学) 山口哲弘(としまグリーンインフラ研究会/大正大学) |
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要旨 |
本会では豊島区及び大正大学をフィールドとし、学生と教職員の共同で都市農業を中心とした活動を2017年から開始した。キャンパス内のデッドスペースを活用したプランター栽培や水耕栽培などを行い、収穫した作物は学内行事で販売している他、収穫体験などのワークショップを開催することで学生や地域住民との交流の場も作っている。また、「銀座ミツバチプロジェクト」を始めとした他団体との連携も行い、2019年にはトヨタ環境報告書にも活動が紹介された。2020年からは大正大学のサービス・ラーニングの一環として授業でも扱われている。都市におけるグリーンインフラの在り方を考えながら、環境教育や地域活性など幅広い分野での活動を目指している。 |
著者 |
李 藝*(公益財団法人都市緑化機構) 菊池 佐智子(公益財団法人都市緑化機構) |
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要旨 | ヒートアイランド現象、自然とのふれあい機会の減少などを背景に、都市内では広大な面積を有する建築物の屋上や壁面等が緑化対象空間として注目されてきた。当初、特殊緑化と称されてきた「屋上緑化」「壁面緑化」も、今では環境技術として建築と一体的に導入されるように変化してきた。(公財)都市緑化機構では、そうした屋上や壁面など、通常の方法では緑化の維持が困難とされてきた特殊空間の緑化について、積極的に取り組み、優れた成果を挙げている民間企業、公共団体、個人等を表彰してきた。本発表では、2001年の第1回から昨年の第18回までの受賞作品を通して、緑化技術とそのデザインの傾向を紹介する。 |
著者 |
諏訪夢人*(東邦大学) 西廣淳(国立環境研究所) |
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要旨 | 遊水地で浅い池の造成・観察会を行う事は、生物多様性保全・子供の自然体験に寄与すると仮説を立て、実現可能性と有効性を検証した。全国に143の遊水地を確認し、その50%は氾濫原の地形的特徴及び自然的な土地利用を有していた。遊水地の管理者は植生管理と土砂の汚れによる利活用への影響を課題として認識していた。池の造成・観察会に参加した子供は活動に対し、高い満足度を持っていた。造成した池では、施設内の既存の池と異なる生物相が成立し、多数の水生昆虫類が確認された。遊水地で浅い池の造成・観察会を行う事で、水生昆虫が生息可能な環境の付加と子供が生物観察を楽しむ事を可能にする。この活動は、全国の多数の遊水地で実施できる。 |
著者 |
伊藤彰高*((株)日本設計) |
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要旨 | 私たち日本設計は、建物を超えてまちの省エネルギー性能の向上に努めています。建物ごとではなく、複数の建物で熱源を集約することで効率的な運用が可能となります。また、これらにより、災害時でもエネルギーを供給することができ、機能継続する強靭なまちを実現しています。さらに、より豊かな緑のネットワークとしてまちに広げることにも努めています。緑の建物単体での緑化だけでなく、周辺環境の緑とつながり、生物環境の保全、ヒートアイランド現象の緩和等に寄与することも実現しています。 |
著者 |
毎田 翔太*(東京都市大学) 横田 樹広(東京都市大学) 渡部 陽介(清水建設株式会社) 平野 尭将(清水建設株式会社) 松岡 達也(清水建設株式会社) |
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要旨 | 都市郊外の台地造成地上の街区は、大きな地形的特徴を残しつつ、改変された微地形に応じた表流水の流出環境を有する。本研究では、港北ニュータウンにおいて、AW3D50cm解像度DEM/DSMデータを用いて舗装面と緑地面に応じた流路と累積流量を分析し、造成面と緑地との境界条件および集水環境の改善シナリオについて検討した。特に斜面林との境界部において、歩道沿い植栽における樹冠拡大と表流水の浸透貯留が有効と考えられたことから、2019年台風19号降雨データをもとに、シナリオによる遊水池からの最終流出量への効果について分析した。 |
著者 |
徳田朝飛*(岐阜県立多治見高等学校) 伊藤栄祐*(岐阜県立多治見高等学校) 水野惠之佑*(岐阜県立多治見高等学校) 竹内天輝*(岐阜県立多治見高等学校) 小木曽圭祐*(岐阜県立多治見高等学校) 佐賀達矢(岐阜県立多治見高等学校) |
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要旨 | 土岐川およびその支流は岐阜県内でも魚類多様性が豊富な河川である一方で、在来種数が減少している。そこで、土岐川の支流の笠原川にて高校生の手で運べる大きさの石を川底に積む小さな自然再生を行い、在来種を増やす取り組みを行った。この取り組みではあくまでも高校生の手で運べる大きさの石を積むため、出水時に石は流されるため治水に影響は与えない順応的管理である点は、本自然再生の優れた点であり、また、地域住民に本取り組みを広げられる可能性が高いと考えている。大会では、自治体の許可を得て実施した石積みによる自然再生の効果を検証したい。 |
著者 |
鈴木 享子*(東京学芸大学) 吉冨 友恭(東京学芸大学) 和田 真治(東京都建設局) 野元 秀美(東京都建設局) |
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要旨 | 本研究では、大学生を対象として、野川の河川整備状況から現場では直接とらえにくい水の流れを読み解くフィールドワークを実施した。河川管理境界に位置する鞍尾根橋の上流(国分寺市:三面コンクリート張り)と下流(小金井市:多自然川づくり改修)を比較し、治水や環境の観点から現場の状況を観察した。また、整備の状況や背景、経緯から野川の現状と課題を考えるとともに、野川の今後の望ましい姿について議論した。発表では、参加学生の反応・感想もあわせて紹介する。 |
著者 |
植田 直樹(株式会社三菱地所設計) 津久井敦士*(株式会社三菱地所設計) |
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要旨 | 都市におけるグリーンインフラの先進事例として、様々な場面で紹介をされ、グリーンインフラの普及に大きな影響を与えているグランモール公園におけるグリーンインフラについて、大きな考え方からディテールの構築に至るまでの取り組みについて発表 |
著者 |
菊池 佐智子*(公益財団法人都市緑化機構) 藤田昌志(公益財団法人都市緑化機構) 李藝(公益財団法人都市緑化機構) |
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要旨 | 企業等が所有する緑地とその取り組みは、SDGsの目標に示された課題解決につながっている。環境認証・認定制度には、このような企業が所有する緑地、取り組みの特徴(強み・弱み)を見える化し、目指すべき管理・運営や合理的な投資の方向性を示す役割が期待されている。(公財)都市緑化機構は、2005年より、社会・環境貢献緑地評価システムSEGES(Social and Environmental Green Evaluation System)を運営し、これまで132件の企業緑地を評価・認定してきた。本発表では、SEGESの特徴と認定緑地、認定緑地におけるグリーンインフラに関連する取組事例を紹介する。 |
著者 |
滝澤恭平*(株式会社水辺総研) 池田正(八千代エンジニヤリング株式会社) 吉原哲(八千代エンジニヤリング株式会社) 横田樹広(東京都市大学 )) |
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要旨 | 都市河川の小流域において, 住民参加型のグリーンインフラ適応に向けた地域ビジョンを策定するための手法を検討することを研究目的とする. 横浜市帷子川支流中堀川流域の白根地域での住民との検討において, a)小流域区分, 地表水の流向の把握, b)土地利用分水と雨水流出量の推定, c)下水道の位置や浸水ハザードマップ, 市民の要望を整理したインタレストマップ作成を行い, d)住民の関心に基づいたグリーンインフラビジョンを示した. その結果, 地域の小集水域スケールの水循環と地域課題を重ね合わせ可視化することによる手法の有効性, 地域の特性や関心を踏まえたコミュニティインフラ提示による市民協働の促進, 空間の履歴を踏まえ市民の関心から空間利用の将来像を描くことによる参加や理解の促進などの知見を把握した. |
著者 |
栁澤茉利(株式会社創建【東京農業大学 造園科学科卒】 福岡孝則(東京農業大学 造園科学科 准教授) |
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要旨 | 埼玉県越谷市は、1600 年頃から治水のための新田開発が行われ、水稲栽培な盛んな地域であった歴史を持ち、現在も灌漑用水として利用されている農業用水路が数多く残されている地域である。しかし、産業構造の変化によって暗渠化や廃線が進行し、市の掲げる「水郷こしがや」としての景観を喪失しつつある。 本研究は越谷市における農業用水路の現状と特性を明らかにし、都市営農地における農業用水路の資質に関する知見を得ることを目的とし、今後農業用水路が地域資源としての価値を確立し、生活の質向上と地域性を活かした、水と緑豊かな「水郷」としての地域の環境・グリーンインフラの形成を期待するものである。 |
著者 |
竹林知樹(株式会社Takebayashi Landscape Architects) 吉浦隆紀(株式会社樋井川村) 田浦扶充子(あまみずラボ/九州大学) 伊豫岡宏樹(福岡大学) 藤井浩一(有限会社吉浦ビル) 加藤凡夫(有限会社吉浦ビル) 森山幸久(有限会社吉浦ビル) |
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要旨 | 福岡市樋井川流域では、分散型の水管理による「あまみず社会」の取り組みが行われている。その一つ、コミュニティカフェ「樋井川テラス」は、コミュニティベースドでグリーンインフラ実装に取り組む実践例である。都市洪水対策のための流出抑制や、魅力や景観を向上させることを目的に、店舗オーナーや地域の方々、土木、造園の専門家と協働し、雨庭づくりを進めた。浸透しづらい土壌の改変、地域の在来植物を利用した雨庭プランター、雨水貯留などを導入し、敷地に降る雨の流出を3割まで減少させた。この場所を拠点として、川や雨水、緑を通じた展開が生まれている。 |
著者 |
丹羽英之(京都先端科学大学) 阿野晃秀(京都先端科学大学) 山下三平(九州産業大学) 佐藤正吾(京都市都市緑化協会) 深町加津枝(京都大学) 森本幸裕(京都大学) |
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要旨 | 気候変動に伴い激化する都市型水害への適応策として雨庭の普及推進が急がれており、同時にその性能評価も求められている。本研究では、安価かつ簡便な雨庭の貯留・浸透機能の計測法として、写真測量により貯留空間の体積(詳細な地形)を把握し、タイムラプスカメラによる貯留水位の観測結果と照合することで貯留量を算出する方法を試みた。京都市で最初の道路型雨庭(四条堀川雨庭)を対象地とした冠水シミュレーションでは、最大で23.4tの貯留量があり、集水域に対して総雨量66 mmの雨水を処理可能なことがわかった。安価かつ簡便な本計測方法は、雨庭の主流化に伴い期待される市民参画とも相性が良く、今後の活用が期待される。 |
著者 |
村上 暁信*(筑波大学システム情報系) 竹田 瑛里(三菱地所株式会社大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会担当) 浅輪 貴史(東京工業大学環境・社会理工学院) 宝蔵寺 正隆(株式会社日立情報通信エンジニアリング社会インフラソリューション事業部) 熊谷 兼人(筑波大学大学院システム情報工学研究科) |
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要旨 | 本発表ではこれからの都市インフラの要件の中から熱環境を取り上げて,丸の内ストリートパーク(以下,MSP)の環境評価結果を報告するとともに,今後グリーンインフラとして整備していくための課題を議論する。MSPは2020年夏季に道路空間を公園化したものである。現地で気温・湿度・風速・放射の移動観測を行うとともに,人流計測を実施した。実測結果からMSPでは熱中症危険度の低い環境が形成されていたこと,特に芝生化した区間では地面からの放射の低減により快適に屋外を利用できるまでに熱環境が改善されていたことが示された。また人流データとの総合解析からは利用者の行動に熱環境が影響を与えていることが示唆された。 |
著者 |
長谷川浩己(オンサイト計画設計事務所) 丹野麗子*(オンサイト計画設計事務所) 落合洋介(オンサイト計画設計事務所) |
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要旨 | 地域の歴史を背負ったグリーンインフラである用水を活用し、都市の中心に新たな市民の居場所を作り出す試みである。 区画整理事業において、駅前に交通ロータリーではなく広場用地が用意されていた。また、この地には、先人が苦労して開いた農業用水である、虎渓用水が存在していたが、農地の宅地化に伴い使用量が減少し、水利権の保持が難しくなっていた。 本プロジェクトでは、駅前の広場に歴史ある用水を導入することで、環境水利権への変換を行うと同時に、街の中心に市民の居場所を創出している。 用水に入り込んでくる土岐川の水や、この地の植生に準じて選ばれた植栽が、都市の中心に川や山の生物や植物を出現させている。 |
著者 |
鈴木 康平*(株式会社竹中工務店) 三輪 隆(株式会社竹中工務店) 奧田 信康(株式会社竹中工務店) 宮田 弘樹(株式会社竹中工務店) 古川 靖英(株式会社竹中工務店) 向井 一洋(株式会社竹中工務店) 蓑茂 雄二郎(株式会社竹中工務店) 北野 雅人(株式会社竹中工務店) 槌尾 健(株式会社竹中工務店) 藤原 邦彦(株式会社竹中工務店) 北村 岳(株式会社竹中工務店) 木村 文(株式会社竹中工務店) 岩本 宏(株式会社竹中工務店) 入江 祥太(株式会社竹中工務店) 向山 雅之(株式会社竹中工務店) 林 紀男(千葉県立中央博物館) 北村 亘(東京都市大学) 下野 綾子(東邦大学) 西廣 淳(国立環境研究所) |
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要旨 | 竹中工務店技術研究所では、2019年にリニューアル工事を実施。新たに生物多様性保全・グリーンインフラ技術の研究開発・実証フィールドとして、「調の森 SHI-RA-BE™」を整備し、運用を開始した。 調の森 SHI-RA-BE™では、雨水流出抑制技術レインスケープ®、都市域の鳥類に配慮した緑地計画技術、樹冠の漏れ光を考慮した水域の日射環境最適化アルゴリズムに基づく樹木配置の最適化技術などの導入とモニタリング・評価を進めると同時に、希少な水草の生息域外保全技術並びに在来草原の再生手法の研究に加え、都市農業や都市養蜂の多面的機能の実証などを進めている。 |
著者 |
木元 勇武*(工学院大学大学院) 中野 沙紀(工学院大学大学院) 星 佳佑(工学院大学大学院) 外山 隼也(工学院大学大学院) |
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要旨 | 都市郊外の空き地を今後の自然共生型社会の構築に向けた資源と捉え、グリーンインフラとしての環境貢献を図りつつ市民による利活用が可能な広場として整備し、地域コミュニティ育成に寄与しうる利活用のマネジメント手法を開発することが本プロジェクトの目的である。空地のデザインは、雑草の繁茂抑制と地表水の流出抑制を意図して、地表面全体を樹皮でマルチングしている。広場内で刈った草はコンポスターを利用して堆肥をつくり、広場内で循環させる。広場は虫取り等の自然体験ができる野草を植えたスウェールのあるエリアと、滞留可能なウッドデッキや花壇・菜園のあるエリアを設け、ワークショップを行い住民と協働し管理している。 |
著者 |
田中 亮平*(東京農業大学大学院農学研究科造園学専攻博士前期課程) 福岡 孝則(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) 阿部 伸太(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) 金子 忠一(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) 服部 勉(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) |
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要旨 | 横浜市は『横浜市水と緑の基本計画』を策定し、水と緑を一体的に捉えた流域単位での取り組みの方針を示すが、市域全体の都市化に伴う緑地減少により、流域の保全・浸透能力の低下および内水氾濫のリスクの高まりが懸念される。本研究では、豊かな自然の残る円海山から横浜港へ流れる都市型河川、大岡川を中心とした大岡川流域を対象とする。特に中流域の中心市街地での浸水被害を減ずるために、土地の雨水貯留・浸透能力に着目し、階層別の地図作成を通じてグリーンインフラ・モデルを考察した上で、モデル計画を提案するものである。(仮) |
著者 |
秋山 義典*(国土交通省) 木村 友(国土交通省) 今井 一隆(公益財団法人都市緑化機構) 手代木 純(公益財団法人都市緑化機構) 菊池 佐智子(公益財団法人都市緑化機構) 外崎 公知(公益財団法人都市緑化機構) |
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要旨 |
国土交通省都市局公園緑地・景観課では、グリーンインフラの取組の一環として、気温の上昇や豪雨災害の増加等の要因となっている気候変動に対応するため、都市における緑地保全や緑化推進等によるCO2吸収源対策や暑熱環境の緩和等に取り組んでいる。 本発表では、CO2吸収源対策について、都市緑化分野における緑地の種類毎の吸収量算定手法と成果を報告するとともに、暑熱環境の緩和について、都市公園等の公共空間において実施した緑化施設による暑熱対策の実証調査の成果を報告する。 |
著者 |
高橋宏太朗(東京農業大学大学院農学研究科造園学専攻) 福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) 阿部伸太(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) 金子忠一(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) 服部勉(東京農業大学地域環境科学部造園科学科) |
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要旨 | (仮)近年日本ではグリーンインフラについての議論がされ空間化が進んでいる。世田谷区でもこのグリーンインフラの持つ多様な恩恵を街に反映してゆくために、身近な場所に植栽や雨庭、プランター等を置くことで、雨水を蓄える力を積み上げてゆくことを政策として進めている。本研究では、世田谷区の公共空間(道路など)を対象に、豪雨時の浸水予想エリアの雨水流出の調査を通じて、世田谷の公共空間が持つグリーンインフラを実装した際に得られる効果を明らかとすることを目的とする。世田谷区において減災に資する持続的雨水管理を中心としたグリーンインフラのモデル計画を公共空間(道路など)を中心として提案するものである。 |
著者 |
福岡孝則(東京農業大学)* 槻橋修(神戸大学) 辻野真紀子(町田市) 加藤英理子(東急) |
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要旨 | オープンスペースはグリーンインフラを実装する場所としてもっとも身近で大きな可能性を秘めている。本発表では、オープンスペースを起点に都市・地域に変化を起こすグリーンインフラとして、官民連携による商業・公園等の一体的な再整備を行なった「南町田グランベリーパーク」を対象に、その都市計画的な位置付けや戦略、計画設計のプロセス、運営の3つの視点から事例紹介を行うものである。戦略、計画・設計、運営の取り組みが立体的に展開されることで、オープンスペースを活かした都市創成の一つのあり方を示す。 |
著者 |
三谷徹(千葉大学)
鈴木裕治(オンサイト計画設計事務所) 田下祐多*(オンサイト計画設計事務所) 生田美菜子(オンサイト計画設計事務所) |
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要旨 | 2005年のつくばエクスプレスの開通に伴い、街区をまたぎ現在まで継続的に開発計画を進めているプロジェクトである。緑が人と自然をつなげるメディアとして機能する事を目指し、各拠点には緑が主役となる広場を配し、それらを緑の軸でつなぎ施設だけでなく生態系コリドーとして周辺地域の緑のネットワークに接続させている。主要軸沿いには多様な低木地被類を階段状に配した緑段が連続し、建築周りに庭的空間を与えると共に、流出抑制機能を高めたインフラとして機能する。また大型植栽の配植、成長を見越し豊かな植栽基盤の性能を保持するため、大型のツリーサークルの開発等デザインとグリーンインフラの関係を絡めた展開を紹介する。 |
著者 |
女鹿 裕介*(株式会社プレイスメディア) 植田 直樹(株式会社三菱地所設計) 吉田 新(株式会社プレイスメディア) 吉澤 眞太郎(株式会社プレイスメディア) |
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要旨 |
グリーンインフラの要素技術として開発された雨水貯留浸透基盤を用いることと、降雨時に雨水が流入し満水時には基盤内の水がオーバーフローするため配管を張り巡らせることにより、樹木の生育に寄与する良好な植栽基盤と雨水流出抑制が両立する都市環境基盤をつくる事を試みた事例の紹介。 |
著者 |
舟尾俊範(植彌加藤造園(株)) 藤永 展(植彌加藤造園(株)) 山口隆史(植彌加藤造園(株)) |
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要旨 |
けいはんな記念公園(正式名称:京都府立関西文化学術研究都市記念公園)は、けいはんな学研都市(関西文化学術研究都市)の建設を記念して計画された都市公園である。約24.1 haの敷地を有し、近年では年間約60万人が利用している。 随所に里の風景が取り込まれており、有料区域の日本庭園「水景園」には棚田がある。開園当初は棚田状の植栽地として整備されたが、指定管理開始時には開園から約10年を経て、花壇のような様相に変わっていた。当初のデザインコンセプトにあわせ、この場所を本物の棚田に整備しなおし、毎年稲作を行える場所として住民参加型の仕組みを作った。現在では日本の里の景色の一部として、棚田は水景園に賑わいを与えている 。 |
著者 |
今川朱美*(広島工業大学) 前川豊(広島市都市整備局) 黒飛翔(青木組) |
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要旨 |
広島市は、緑化の推進に力を入れており、多くの事業にとりくんできており、本年は、第37回全国都市緑化ひろしまフェア「ひろしま はなのわ 2020」が開催される予定であった。緑化事業の中で、造園工事を伴う植樹等は緑化としての継続性が見込まれるが、ソフト整備である緑のまちづくり地域活動などは、住民意識の継続が難しい。また、プランター設置事業は、一過性の緑化になりがちである。 本研究では、①プランター設置による緑化はインパクトが小さいのに、イベント等で必ず取り組むのはなぜか、②プランター事業の効果は期待できるのか、を明らかにし、③恒久的なプランターの設置を目的とし、プランター設置の価値を緑化以外にも確認した。 |
著者 |
浦本翔平*(山口大学)
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要旨 | 微生物燃料電池というバイオ電池の開発が現在、世界で行われている。我々は特に植物を内蔵した微生物燃料電池の研究をしており、グリーンインフラとの高い親和性に期待している。具体的にはバイオエネルギーの生産、都市型洪水の防止、重金属・有機物の除去など。 |
著者 |
小玉 泰士*(RESTEC) 福島 滉貴(RESTEC) |
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要旨 | リモートセンシングデータの持つ「広域性」「持続性」といった特徴を活かし、グリーンインフラストラクチャーを評価・管理・計画する手法の構築を目指す。自然や人に誘発される危険や災害の影響を受けにくいレジリエンス力(回復力)の高い地域の現状を評価し、持続的可能な開発を管理でき、スマートグロース(賢い成長)が継続できているかを定期管理できる仕組みを、地域住民・地方自治体等を巻き込んだ地域一帯でできないか検討する。 |
著者 |
増田成玄*(UR) 平井勝(UR) 折原夏志(UR) 大野暢久(UR) 鶴見隆志(株式会社URリンケージ) 遠藤徹(株式会社URリンケージ) |
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要旨 |
UR都市機構では、自然環境や生物多様性の保全・再生・創出への配慮、新たなまちの潤いや快適性、地域交流、地域への愛着の醸成など様々な場面で『みどり』を活かし、まちづくり・住まいづくりの中で数多くのグリーンインフラ形成に取り組んできました。 ポスター発表においては、グリーンインフラの事例に加えて、URが推進するまちづくりの概念や考え方についても紹介します。 |
著者 |
津田 健*(東京大学農学部緑地創成学研究室) 土屋一彬(東京大学農学部緑地創成学研究室) 大黒俊哉(東京大学農学部緑地創成学研究室) |
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要旨 |
人口縮小や高齢化の進行、またその対応策として近年注目されているコンパクトシティ政策により、日本の都市における将来的な人口密度の変化が予想される。この変化は、都市住民に多様な生態系サービスを提供し、その生活を支える都市緑地にも影響を与えると考えられる。 既往研究ではヨーロッパや東南アジアの都市において人口密度と都市緑地被覆面積が負の相関を示すことを指摘しているが、日本の都市で同様の関係性は見られるのだろうか。 本発表ではGoogle Earth Engineを用いて日本の全都市域における人口密度と都市緑地の量および構造との関係性を解析し、それを踏まえた上で日本の都市緑地の将来像を考察する。 |
著者 |
古野正章*(九州産業大学) 内田泰三(九州産業大学) 薛 竣桓(Tongji university) 早坂大亮(近畿大学) 荒瀬輝夫(信州大学) |
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要旨 | 都市は災害など多くの問題に直面している。都市のグリーンインフラ(GI)は,従来のインフラに自然環境を取入れる事により防災・減災に寄与するため近年注目されている。加えて,GIは生物多様性にも寄与している。GIは緑地など大規模なものが特に注目されがちだが,都市では大規模なGIを新たに導入するには用地確保などの問題がある。一方で,街路樹などのGIはそれぞれが小さいため,前述の問題を解決できるため,今後ますます期待されるであろう。本報では小規模なGIである街路樹に注目する。街路樹は防災や減災に寄与する事が知られているが,生物多様性については報告が少ないため,都市の生物多様性における街路樹の役割について報告する。 |
著者 |
小川 遼平*(東京工業大学)
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要旨 | グリーンインフラ(GI)として、湿地生態系は防災・減災、環境、社会の3側面から効果を発揮できる。環境面では、豊かな生物多様性と良好な水質環境の維持という機能を持つ。本発表ではGIとしての活動実績がある日本の3つのラムサール湿地(釧路湿原、渡良瀬遊水地、円山川)に着目し、これら2観点について、生物分類(魚、昆虫、植物、鳥、底生動物、両爬哺)および各湿地帯の主要河川の水質値ごとに両者の相互関係を調査した。その結果、各多様性-水質関係の中で、底生動物類は複数の水質値と有意な相関があった。これは同類が物質循環の一端を担うためだと考えられる。GIとしての湿地生態系の機能は相互作用を持つことが示唆される。 |
著者 |
藤木 庄五郎*(株式会社バイオーム)
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要旨 | 生物データ投稿機能とAI画像解析を組み合わせたアプリ「Biome」には、これまでに2万種を超える生物の分布データが80万件以上蓄積されている。発表者はこの生物ビッグデータを用いて、生物多様性が高いホットスポットの抽出を試みた。日本を約1㎞四方の区画に切り分け、区画内の投稿数に対して期待される種数の非線形予測モデルを作成した。実際の発見種数が予測値より高い地域は、良質な自然体験によるレクリエーション効果を期待できる場所である可能性が高い。この解析から、市街地の緑地にはホットスポットとそうでないものが混在することが示された。生物多様性に考慮した都市緑化の実現には、両者の違いを生む原因を解明する必要がある。 |
著者 |
相澤 章仁*(株式会社大林組) 日野 良太(株式会社大林組) 長野 龍平(株式会社大林組) 大西 健司(株式会社大林組) 杉本 英夫(株式会社大林組) 十河 潔司(株式会社大林組) |
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要旨 | 本ポスターでは、株式会社大林組が保有する既存の技術について、グリーンインフラの視点から整理を行った結果を発表する。当社の技術情報データベースから自然やその機能と関連した技術を抽出し、1.グリーンインフラを創出する技術、2.グリーンインフラの維持向上に寄与する技術、3.グリーンインフラを評価する技術、4.グリーンインフラを利用した技術、5.グリーンインフラの施工に関連する技術の5つのカテゴリーに分類した。グリーンインフラの施工を担う建設会社が関連する技術を整理して公表することは、社会ニーズとのマッチングを行うことを可能にし、さらには今後の技術開発の課題を明確にすることが期待できる。 |
著者 |
赤岩麻里子*(株式会社竹中工務店) 向山雅之(株式会社竹中工務店) 槌尾健(株式会社竹中工務店) 椋下秀明(DIC川村記念美術館) 大森幹夫(DIC川村記念美術館) 海谷紀衣(DIC川村記念美術館) |
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要旨 | 千葉県佐倉市の緑豊かな北総台地に位置する美術館の庭園における雨水調整池の改修事例。直立護岸の水際部を緩傾斜に改修し、水面の範囲を拡張しつつ、浮葉植物・抽水植物・湿生植物を配し水辺のエコトーン(移行帯)を創出した。モネの睡蓮の池の絵画のような自然の美しさをつくるという設計段階で定めた目標景観実現に向け、竣工後もプロジェクト関係者のコミュニケーションを継続し、植物同士の生長や変化を見極め、順応的管理を行っている。関係者が共通の目標景観を共有することで、現場をよく知る維持管理担当者からの気づきを関係者で共有し、観察・対策・検証のサイクルを自律的に回すことができている。 |
著者 |
伊波克典*(グローバル・フットプリント・ネットワーク) 清野比咲子(WWFジャパン) 土屋一彬(東京大学) Steven R. McGreevy(総合地球環境学研究所) Christoph D.D. Rupprecht (総合地球環境学研究所) |
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要旨 | 自治体による「環境と向き合うまちづくり」を推進するためには、自然循環の中で私たちの暮らしを包括的に捉えなおすツールが必要になる。それがエコロジカル・フットプリントである。エコロジカル・フットプリントとは、特定地域の消費行動が環境に与えている負荷を可視化して数値化する方法であり、1990年代に考案されて以来、主に国レベルで知見が重ねられた。しかし、現実的環境は自然条件や生活文化など地域によって異なるため、できるかぎり生活に近い自治体レベルで対策を講じていくことが大切になる。本発表では、自治体レベルでエコロジカル・フットプリントを活用する意義とその方法論をまとめていく。 |
著者 |
木下 剛*(千葉大学大学院園芸学研究科) 田畑 貞寿(東洋大学人間科学総合研究所、千葉大学名誉教授) |
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要旨 | グリーンインフラという言葉は近年造語された新しい言葉であり、したがって日本においては当然新しい外来語である。しかしこの言葉が新しい概念に相当するかどうかは内外における慎重な検証が必要である。新しい概念であるならその新規性は何か。また仮に、新しい概念ではないとしたら、そのような新しい言葉を使う意義は何か。こうしたことが十分に検討されないまま、言葉だけが一人歩きし、今日様々なところで使われ始めている。そこで本研究は、日本における様々な分野の様々な取組(政策、施策、計画、事業など)の中で、グリーンインフラという言葉がどのような意味でどのように使われているかを試論的に考察する。 |
著者 |
原口正彦(総合地球環境学研究所)
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要旨 | ダムが下流生態系に与える影響は社会的にも注目されてきた。しかし、上流生態系がダムに与える影響については現在まで十分な考察が行われてきたとは言えない。ダム上流に位置する生態系は、グリーンインフラとして機能している可能性があり、ダムに流入する土砂量に影響を与えていると考えられる。土砂堆積物はダムの寿命を縮める大きな要因の一つであると考えられており、ダムの上流生態系を適切に管理することは、ダムの維持管理に役立ち、ダムの長寿命化につながる可能性が指摘されている。本発表では、ダムの老朽化に伴う上流生態系の影響に関する、日米の研究と政策論議の現状をレビューし、総括する。 |
著者 |
橋本純*(清水建設株式会社) 渡部陽介(清水建設株式会社) 小松裕幸(清水建設株式会社) |
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要旨 | 清水建設では,グリーンインフラ推進のコンセプトとして「グリーンインフラ+ (PLUS):子どもたちに豊かな自然の恵みを」を掲げている。人と生き物がいきいきと共生できる持続可能な社会の実現を目指し,自然生態系の保全・回復を強化しつつ,「豊かな 自然の恵み」をまち・地域,そして次世代に分配することを重視した理念・実践を総称するコンセプトである。ポスターでは,当社のグリーンインフラに関する代表的事例として,建築・土木の開発事業にあわせて水と生態系の回復に取り組んだ事例を紹介する。 |
著者 |
小池 祥平(東邦大学理学研究科) 小野 厚(昭和設計株式会社) 西廣淳(国立環境研究所気候変動適応センター) |
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要旨 | 氾濫原は洪水に伴う自然撹乱により多様な湿地環境が動的に維持され、多様性と固有性の高い生物相が成立する。しかし近年その面積は減少している。このような状況の中、遊水地は氾濫原の生物の代替的な生息地になることが期待される。ただし多くの遊水地では強い撹乱が生じにくく植生が均質化しやすい。遊水地は野生生物の生育・生息地だけでなく、より多目的な場としても機能する。静岡市にある麻機遊水地は多くの主体に様々な目的で利活用されている。利活用はその目的に応じた様々な種類や強度の人為的撹乱を生み、生物多様性の保全に結果的に寄与している可能性がある。そこで、利活用による撹乱が植生に与える影響について調べた。 |
著者 |
戸田 知佐(オンサイト計画設計事務所) 原 行宏*(オンサイト計画設計事務所) 前田 智代(オンサイト計画設計事務所) 三谷 徹(千葉大学) |
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要旨 |
自然環境が持つ二酸化炭素固定、生物多様性等が現代の環境問題の解決の1つの糸口になると広く知られているが、その自然環境がどのように形成、生育するかについてはあまり知られていないと思われる。自然環境の保護や創出の行為自体が重要であることは当然であるが、その形成、生育のプロセスを見せることも必要と思われる。 本発表では森づくりに焦点を当て、設計を担当したYKKセンターパーク等の事例を用いて森の形成のプロセスを見せる空間の紹介を行う。当初の苗木の状態から10年経過した現在の風景、植栽基盤や樹種構成など気を使った点、その他植栽の生育と風景として見せることの両立のために工夫した点等を写真等を用いて紹介する。 |
著者 |
中尾 理恵子*(株式会社創建) 大上 慧太(国土交通省) |
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要旨 |
本プラットフォームは、多様な主体の積極的な参画及び官民連携により、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用したグリーンインフラを推進し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりにつなげることを目的に、令和2年3月19日に設立しました。 グリーンインフラの取組推進に向け、令和2年6月30日~7月6日に開催したオンラインシンポジウムをはじめ、グリーンインフラ取組事例、技術・手法の募集、アドバイザー制度、オンラインセミナーなどの取組を多様な主体の参画と連携により進めています。 |
著者 |
中山佳子*(株式会社日本設計) 亀田裕之(株式会社日本設計) 山下博満(株式会社日本設計) |
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要旨 |
持続可能な地域観光振興には、既存⽼朽施設の更新や災害からの復興をいかに的確に計画・実行できるかが大きく影響し、その将来を左右する。日本設計が計画した2事例 を通じ、文化財指定をうけた公園地における観光地としての持続性を高め、国土のグリーンインフラとして維持・強化 するアプローチを紹介する。 1.秋吉台地域景観・施設整備計画 観光関連施設約90棟をマーケティング⼿法も取り入れた独自指標で評価し、縮小社会における観光振興を促すエリアデザインを行った。 2.熊本城復旧基本計画 被災した特別史跡を再構築するプログラムを策定。復旧⼯事そのものを見せる通路も設計し、震災復興をさらなる地域観光振興へつなげた。 |
著者 |
小笠原 奨悟*(パシフィックコンサルタンツ株式会社)
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要旨 | 昨今のグリーンインフラの社会的認知度の向上・概念の普及に伴い、各地域でのグリーンインフラの実装に対する期待が高まっている。実装に向けた方策の一つとして、「グリーンインフラ技術レポート」(総合地球環境学研究所Eco-DRRプロジェクト、2020年6月)では、トップダウンとボトムアップの両面から行政計画の役割について論じた。本発表では、今後のさらなる社会実装に向けて、各分野の行政計画や関連する制度等を柔軟に活用しながら、包括的・横断的な視点で検討することによる可能性について考える。具体的には、地域気候変動適応計画等の行政計画や環境アセスメント等の制度を題材に、実装に向けた方法について幅広い可能性を検討したい。 |
著者 |
遠香 尚史*(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) 吉成 絵里香(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) |
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要旨 | 近年、注⽬が集まっているグリーンインフラ・Eco-DRRに関する施策を推進するにあたり、行政における、関連する計画の策定状況や事業等の実施状況などを把握することを⽬的に、都道府県、市区町村における環境⾏政のご担当者を対象としてアンケートを実施する(9月)。本発表では、このアンケートの集計結果について報告する。 |
著者 |
中川 考介*(パシフィックコンサルタンツ 環境・エネルギー部) 四栗 瑞樹(パシフィックコンサルタンツ 環境・エネルギー部) 小笠原 奨悟(パシフィックコンサルタンツ 環境・エネルギー部) |
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要旨 | 気候変動への適応策の検討の際には、不確実性を伴う気候リスクへの対応という特性から、平常時にも多様な機能を発揮することでその便益を担保する“後悔しない(No-Regret)対策”や、複数の社会課題の解決につながるコベネフィットな適応策が求められている。これらの概念は、グリーンインフラ(GI)のもつ特性と大きく重複するため、地域における適応策の実装においてGIが活用できる可能性は大きい。 本発表では、気候変動の適応に関する近年の動向を俯瞰した後、国や自治体の気候変動適応計画に挙げられる適応策の整理・分析を通し、既存の適応策におけるGIの位置づけの整理や、今後の気候変動への適応におけるGIの展開の可能性について論じる。 |
著者 |
山中綾乃*(熊本大学) 皆川朋子(熊本大学) |
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要旨 | 気候変動による災害の激甚化、人口減少が進む中、持続可能な地域を担保するための方策として、生態系を活用した減災・防災、流域治水などが着目されている。これを実現していくためには、技術的なメニューのみでなく、地域住民に生態系サービスの価値や機能、過去の災害や地域の脆弱性に関する情報、及び地域知などの情報を広く発信していく必要がある。本報告では阿蘇地域を対象に防災・減災及び生態系保全への理解を深め、持続可能な社会を目指すために作成した環境教育読本について紹介する。 |
著者 |
増原 直樹*(総合地球環境学研究所)
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要旨 | 本研究は,持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取組みの一つとして,日本政府が指定した計93のSDGs未来都市を対象として選定し,それぞれのSDGs未来都市計画が貢献しようとするゴール及びターゲットを集計した。中でも、グリーンインフラに深く関連するゴール11及びゴール15に関する取組みの全国的な状況を明らかにするとともに、健康(ゴール3)や気候変動(ゴール13)といったグリーンインフラを取り巻く環境として重要と思われる要素との関係についても分析した。 |
著者 |
岸上 祐子*(九州大学) 馬奈木俊介(九州大学) |
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要旨 | 地域における自然資本を持続可能な形で活用し、環境配慮型の投資·消費を活発化させることは住民の幸福度にも影響を与え、まちづくりや防災にも関係し、ひいては地域の持続可能性を高める。自然資本の価値を、地域を豊かにする人工資本や人的資本と共に評価する包括的な指標である新国富指標を用い、持続可能性という観点から見た都市のパフォーマンスを質的に評価した。この指標は自治体(福岡県3市町・石川県1市)の基本戦略等政策決定プロセスに活用されている。 |
著者 |
金 甫炫*(国土交通省 国土技術政策総合研究所 社会資本マネジメント研究センター 緑化生態研究室) 大石 智弘(国土交通省 国土技術政策総合研究所 社会資本マネジメント研究センター 緑化生態研究室) |
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要旨 | 本調査は、グリーンインフラに期待する多様な機能について、海外の制度や研究事例を用いて、評価している機能の種類や目的、評価方法などについて整理を行い、海外でのグリーンインフラ評価の実施状況及び機能毎の評価方法の違いや評価を実施する上での課題などを把握することで、今後の評価手法開発に資する基礎資料作成を目的とする。 |