ポスター発表 1 11月7日(土)

11月7日(土)ポスター発表 1・プログラム

ZOOM 1 12:00~13:30

【農山村-A1】
水田内の堀込溝が水生動物相と水稲の生産に与える影響

発表者:菊川裕幸 (丹波市教育委員会文化財課・京都大学大学院農学研究科)
著者 菊川裕幸*(丹波市教育委員会文化財課・京都大学大学院農学研究科)
三橋弘宗(兵庫県立人と自然の博物館・兵庫県立大学自然・環境科学研究所)

要旨 本研究は,農業高校生が農業教育の一環として取り組めるように水田内に小規模堀込溝を設置し,水生動物の種数や個体数ならびに水稲生産に与える影響を調査した。その結果,水稲生育期間中において水生動物の生息に必要な水深を維持するとともに,多種多様な水生動物を保全できた。しかし,農薬を使用した慣行栽培水田と本研究の実験水田におけるコメの収量調べた結果,約30%の収量低下がみられた。外観品質では整粒比が実験水田において約10%低下したが食味については試験区間に有意な差はなかった。掘り込み溝を水田内に設けることは生物多様性の保全につながるが雑草の繁茂など無農薬の影響を受け,水稲生産性が低下する可能性が示唆された。

【農山村-A2】
九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻流域システム工学研究室

発表者:兒玉健佑 (九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻流域システム工学研究室)
著者 兒玉健佑*(九州大学)
林博徳(九州大学工学研究院)
島谷幸宏(九州大学工学研究院)

要旨 本研究では、野鳥川に現存する伝統構造物である「石畳堰」の保存に資する知見を得るため、水理模型実験によってその流速減勢機能を定量的に評価した。実験スケールは1/30とし、フルードの相似則に従い実験条件を設定した。実験は流量6.1L/sと3L/sの2つと、水理模型が石畳堰、コンクリート製段落ち堰、コンクリート製斜路堰の3つの計6ケース実施した。堰同士で粗度係数、平均流速、フルード数を比較した結果、石畳堰は自身及びその近傍で減勢効果を発揮することを示すことができた。さらに護岸の設計流速と比較することにより、石畳堰を用いれば護岸をコンクリートブロックではなく空石積みでも整備可能となることが示唆された。

【農山村-A3】
グリーンインフラとしての阿蘇の草原:土地利用の将来予測と生態系サービスへの影響

発表者:佐々木恵子 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
著者 佐々木恵子*(慶應義塾大学)
一ノ瀬友博(慶應義塾大学)

要旨 阿蘇地域は人口500万人を支える九州の水がめであり、カルデラに広がる20,000haの草原は重要な地域資源である。農畜産業の構造変化により草原面積は大幅に減少し、今後は管理組織の弱体化も伴い、草原損失の更なる深刻化が危惧される。本研究では、将来見込まれる土地利用の変化が阿蘇地域の生態系サービスに与える影響を評価した。具体的には、過去の土地利用変遷に基づき、2050年における土地利用を傾向延長的に予測した。生態系サービスの供給量の算出にはInVESTモデルを用い、地下水涵養、二酸化炭素固定機能、土砂災害防止機能を中心に評価した。草原遷移に伴う影響が顕著であり、草原を維持するためのバックキャスティングの必要性が示唆された。

【農山村-A4】
北九州市における市民参加型の竹林・里山の整備と副資材の利活用による地域の活性

発表者:デワンカー バート (特定非営利活動法人 北九州ビオトープ・ネットワーク研究会、北九州市立大学国際環境工学部)
著者 デワンカー バート*(特定非営利活動法人 北九州ビオトープ・ネットワーク研究会、北九州市立大学国際環境工学部)

要旨 北九州市は工業都市でありながらも豊富な自然環境も有している。かつては生物の生息空間であり、かつ人の営みと密接であった里山は、人の生活様式の変化などにより、竹の侵食による里山の荒廃や生物多様性の損失がますます勢いを増している。里山保全を直接的な目的にした取り組みは多くの手間と時間を要するため、拡がりを望むのは難しく、竹の利活用による第六次産業の推進が効果的な解決手段であると仮定し、市民参加を図りつつ、建設資材をはじめとする竹の需要を大きく向上させる取り組みについて報告する。

【農山村-A5】
バリ島プンリプラン観光村における家屋敷の「外庭」の生態・社会文化的機能分析

発表者:加藤禎久 (岡山大学グローバル人材育成院)
著者 加藤禎久*(岡山大学グローバル人材育成院)
菱山宏輔(専修大学人間科学部)

要旨 宅地の庭木・草花のような身近な緑は、個人の環境意識向上の契機になるなどの重要な役割を有するが、制度的な保全対象にはなりにくい。研究対象のインドネシア・バリ島の伝統的な小規模緑地であるテラジャカン(TJ)も、家屋敷の「外庭」としてバリの街路景観を形成する多様な生態・社会文化的機能を持つグリーンインフラとして位置づけられるが、都市・観光化の開発圧で消失しつつある。減少圧下でも残存し、保全・活用されるTJ機能、利用、管理の仕組みを明らかにすることを目的に、TJ植生調査とアンケート・インタビューから抽出された社会文化的要素とを多変量解析する。TJを活用して観光化するプンリプラン村の調査結果について発表する。

【農山村-A6】
アグロエコロジーを通したグリーンインフラの考察

発表者:小張真理子 (筑波大学)
著者 小張 真理子*(筑波大学)

要旨 生物多様性及び文化の多様性を保全する社会システムの在り方や国連が掲げるSDGsを議論する上で、アグロエコロジーの考え方が注目されている。国際社会においてアグロエコロジー運動が活発化する傾向にあり、小農を軸とした持続可能な食のシステムを構築する意義と個々のライフスタイルや消費選択が問われている。グリーンインフラと同様に、アグロエコロジーという概念にはネットワークや自然構築を含む多様な解釈と機能がある。本研究はこれらの概念を比較分析し、持続可能な社会システムの考え方を探る。アグロエコロジーとグリーンインフラの対話を通して、森林再生や里山保全に取り組む市民社会の動きを考察し、人と自然の共生を論じる。

【農山村-A7】
北海道開発局におけるグリーンインフラ整備の推進に向けて

発表者:上月佐葉子 (パシフィックコンサルタンツ株式会社)
著者 ⾜⽴ 憲泰*(国⼟交通省北海道開発局)
上⽉佐葉⼦(パシフィックコンサルタンツ株式会社)

要旨 第8期北海道総合開発計画の「強靱で持続可能な国土形成」では、自然環境が有する多様な機能を積極的に活用するグリーンインフラ(GI)の推進が掲げられている。北海道開発局が行っている事例などを考察する。

【農山村-A8】
未利用有機資源を用いた資源循環型微生物製剤の生産

発表者:辻卓弥 (近畿大学)
著者 辻 卓弥*(近畿大学)
坂崎 柾寿(近畿大学)
江邉 正平(近畿大学)
大池 達矢(近畿大学)
岡南 政宏(近畿大学)
阿野 貴司(近畿大学) 

要旨 近年、グリーンインフラとして都市域内における屋上の緑化や自然公園の設置などが取り組まれている。しかしながら、これらのグリーンインフラを維持管理するには病害虫による農作物への被害が問題として挙げられる。都市内における農薬の使用は、圃場で使用するよりも環境問題に留意すべきであると考えられるため、低量での農薬の使用や、病害虫による被害が起こりにくい栽培環境の構築が必要であると考えられる。そこで我々は産業廃棄物として捨てられている有機資源を用い、植物病原菌に対する拮抗微生物を培養して土壌に施用することで、生態系を破壊することなく土壌病害の防除することができる微生物製剤の開発を目的とした。

【農山村-A9】
阿蘇地域におけるEco-DRR計画立案に向けた災害リスク低減と遊水地の生態系サービス

発表者:山下大佑 (熊本大学大学院)
著者 山下大佑*(熊本大学大学院)
皆川朋子(熊本大学 大学院 先端科学研究部)

要旨 気候変動に伴う災害リスクの増加に伴い,災害リスクの低減と生態系保全を両立できるようなEco-DRR(生態系を活用した防災・減災)という考え方が注目されている.本研究で対象としている阿蘇地域では,豪雨により甚大な洪水被害を受けていることから,遊水地群が整備されている.今後,気候変動によるさらなる災害リスクの増加に対応しつつ,持続可能な地域としていくためには土地の脆弱性を読み取ることや遊水地の生態系サービスを明らかにする必要がある.そこで本研究では,阿蘇地域におけるEco-DRR計画立案に向けた知見を得るため,土地による浸水リスク,遊水地の定量的な減災効果や遊水地が生物多様性に資するための条件などの検討を行った.

【農山村-A10】
矢作川流域圏の担い手づくり事例集 ─持続可能な流域づくりを支える人びと─

発表者:洲崎燈子 (矢作川流域圏懇談会)
著者 洲崎 燈子*(矢作川流域圏懇談会)
近藤 朗(矢作川流域圏懇談会)
高橋 伸夫(矢作川流域圏懇談会)
浜口 美穂(矢作川流域圏懇談会)
中田 慎(矢作川流域圏懇談会)
石原 淳(矢作川流域圏懇談会)

要旨 国交省豊橋河川事務所は2010年、流域住民・関係機関も含めた話し合いを通じて連携・協働の取り組みを行い、流域圏全体の発展をめざす「矢作川流域圏懇談会」を立ち上げた。同懇談会は山、川、海、市民の4部会で構成され、各部会で学識者・行政・関係団体・市民団体などのメンバーが連携して地域の課題を抽出し、その解決方法を探っている。その中で山部会が中心となり、中山間地振興をはじめ持続可能な流域づくりにつながる活動を行う102の団体を取材して6冊の事例集にまとめた。その過程を通じて見えてきた、地域の自然資源を活かした持続可能な流域づくりにつながる活動のヒントと今後の発展の可能性について報告する。

【農山村-A11】
 -いちかい浮島-里山資源を活かした人工浮島による生態系保全の試み

発表者:井本郁子 ((公社)日本技術士会栃木県支部、NPO法人地域自然情報ネットワーク)
著者 井本 郁子 1)2)
徳江 義宏 1)3)
水野 潤 1)4)
西谷 元則 1)5)
松原 猛 1)
久芳 良則 1)
川上 寛児 1)
1)(公社)日本技術士会栃木県支部、2)NPO法人地域自然情報ネットワーク
3)日本工営株式会社、4)平成理研株式会社、5)株式会社水環境プランニング

要旨 栃木県市貝町は谷津田に代表される里山の自然が残された地域であり、サシバの里として全国に知られる場所でもある。この市貝町の廃校となった元小学校のプールでは、2017年よりキンブナの養殖が地域住民によって始められていた。しかし、周辺をコンクリートで固められたプールは、キンブナの成育場所としても、人々の集いの場としても不完全なものであった。そこで、技術士会栃木県支部では水質改善と里山の自然の保全と展示を目的に浮島の作成を提案した。浮島の材料としては、地域で入手可能な竹材、湿地の植物に加えて、休耕田の土壌を利用した。設置から1年半を経た現在、浮島の群落は多様な湿性植物より構成されている。

【農山村-A12】
印旛沼のオニビシの活用について

発表者:池岡正樹 (リファインホールディングス株式会社)
著者 池岡正樹*(リファインホールディングス株式会社)
安田みどり(西九州大学)

要旨 千葉県印旛沼でオニビシが年々増え続けている。そのため漁場や船による観光航路が確保できず、さらに水質の悪化や悪臭問題も引き起こしている。千葉県では毎年、オニビシの陸揚げ回収作業を行なっているが、なかなか改善されていない。これらを改善するべく企業として、今まで廃棄されているだけだったオニビシに付加価値を付け、商品を構築し印旛沼の豊かな未来を描いたオニビシの活用方法を検討した。
その結果、風評被害の多い印旛沼のオニビシに対し毒性試験から安全性を証明し、オニビシの機能性を活用した化粧品素材の開発に至った。現在は上市している。またオニビシを通して人の心と印旛沼を豊かにし、誇りを持てるような未来を目指す。

【農山村-A13】
阿蘇地域における持続可能な地域づくりに向けた斜面植生の在り方に関する研究

発表者:浅田寛喜 (元熊本大学大学院(現株式会社福山コンサルタント))
著者 浅田寛喜*(元熊本大学大学院 現株式会社福山コンサルタント)
皆川朋子(熊本大学 大学院 先端科学研究部)
東口晃久(アジア航測株式会社)
畠周平(アジア航測株式会社)

要旨 阿蘇地域の斜面においては,草原の消失と森林化の進行により生態系サービスが劣化し、災害リスクが高まっている。今後阿蘇地域において、持続可能な地域づくりを行うためには、災害リスクの低減と生態系サービスの向上(草原への植生転換)を行っていく必要がある。そこで、本研究では、斜面植生における立木密度や樹高などを考慮した災害リスクの定量的評価を行うとともに、土砂流出が抑制されていた林分の立木密度、胸高直径を算出することで土砂災害防備林の評価を行った。これらの結果を踏まえて、災害リスクの低減と生態系サービスの向上に寄与する斜面における植生管理の在り方について考察を行った。

【農山村-A15】
普通河川周辺の耕作放棄水田が有する洪水緩和機能及び生物多様性保持機能の評価
-兵庫県豊岡市田結湿地を事例として-

発表者:今井洋太 (徳島大学大学院 先端技術科学教育部)
著者 今井 洋太*(徳島大学)
森定 伸(株式会社ウエスコ)
飯山 直樹(徳島大学)
三橋 弘宗(兵庫県立人と自然の博物館)
武藤 裕則(徳島大学)
鎌田 磨人(徳島大学)

要旨 我が国に無数に存在する普通河川の管理は、国土管理における重要な課題の一つである。兵庫県豊岡市の普通河川である田結川下流域では,河川周辺の耕作放棄水田を湿地として維持管理することで、コウノトリをはじめとする野生生物の生息・生育場として活用することに加え、洪水管理にも役立てようとする取り組みが、地域住民によって始められている.本発表では,二次元氾濫解析を行い,耕作放棄水田が有する洪水一時貯留機能を評価した事例について紹介する。また、管理下の耕作放棄水田に成立する湿性植物群落の立地特性についても紹介し、普通河川における洪水緩和機能と生物多様性保持機能を高める氾濫原一体型の管理手法について議論する。

ZOOM 2 12:00~13:30

【沿岸・漁村-B1】
キリバス・インド・マレーシアでのマングローブ植林活動とマングローブデータベース

発表者:毛塚みお (特定非営利活動法人 国際マングローブ生態系協会)
著者 毛塚みお*(国際マングローブ生態系協会)
大城のぞみ(国際マングローブ生態系協会)
貝沼真美(国際マングローブ生態系協会)
馬場花梨(国際マングローブ生態系協会)
井上智美(国立環境研究所)
馬場繁幸(国際マングローブ生態系協会)

要旨 熱帯・亜熱帯の沿岸域に分布するマングローブ林は、木材・非木材資源の供給、水産資源の涵養、生物多様性の保全等、沿岸域に住む人々に豊かな恵みをもたらしてきた。
気候変動の影響が深刻さを増す今日、マングローブ林の果たす「生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)」の役割(適応策)や、高い炭素貯留能力、すなわちブルーカーボン貯留能力(緩和策)が注目され、その再生や保全の重要性は益々高まっている。
本発表では、国際マングローブ生態系協会が、荒廃林の再生や防災を目的としてキリバス、インド、マレーシアで行ってきたマングローブ植林活動と、マングローブに関する情報発信のためのデータベースについて紹介したい。

【沿岸・漁村-B2】

発表者:寺山友香 (滋賀県立大学大学院 環境科学研究科)
著者 寺山 友香*(滋賀県立大学大学院 環境科学研究科)
村上 修一(滋賀県立大学 環境科学部)

要旨 本研究では、江戸時代初期、明治時代にあった水辺環境の復元、人々の交流を目的に、公園・河川敷内全12箇所に設置された保全湿地PES(ポケットエコスペース)を対象に、近隣主体の積極的な参加による永続的な維持管理を可能にする空間の設計方法を検討した。
湿地を活かす植栽の少なさ、湿地の位置、形状が地形を反映していない点が判明した。
活動・管理を行ってきた2つのボランティア団体の高齢化、参加者の少なさが問題視される一方、近隣施設から協力する人々が多数確認できた。
今後、近隣主体の参加を促進するため、経済活動の場としての利用価値を導入し、湿地、地形、植栽、土地利用変遷間の関係性をデザインプロセスに入れる必要がある。

【沿岸・漁村-B3】
海‐内陸をつなぐ海浜ハビタットの消失が植物種多様性および生態系機能の低下を招く

発表者:小山明日香 (国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所)
著者 小山 明日香*(森林総研)
井手 竜也(国立科学博物館)

要旨 海浜生態系は長らく人間利用と防災のためにその大部分が改変され、特異な生物相を有するにも関わらず保全対策が進められてこなかった。本研究では、海‐内陸をつなぐハビタット(後浜)の消失が海浜域の植物種多様性および生態系機能に与える影響を検証するため、茨城県の海浜域を対象に植物およびハチ類の調査を行った。結果、海浜性種を含む在来植物種数は後浜の残る海浜で高く、ハチ類の種数は花粉媒介性・捕食性ともに在来植物種数が高いほど高かった。よって、近年の堤防設置等による後浜の急速な喪失は、海浜植物の種多様性の低下とそれに伴う生態系機能の低下を招いており、残存する海浜域の生物多様性保全が喫緊課題である。

【沿岸・漁村-B4】
島嶼の小さなグリーンインフラ挑戦

発表者:保清人 (株式会社ロスフィー)
著者 保清人 (株式会社ロスフィー)

要旨 国内外問わず気候変動の影響著しい島嶼ではグリーンインフラの取り組みが急務である。奄美大島で10年以上貸別荘として運営される地中別荘ヴィラ・ファニーは臨海部の侵食を別荘建築全体で抑えながら、屋上緑化と建築周辺の植栽構成し、景観だけでなく、エコトーンも再構築している。島のツーリズムに貢献しながら、近隣の事業者との連携し、経済と景観、生態系の維持に取り組んでいる。これまでの実績とグリーンインフラ的機能の再評価は始まったばかりであるが、グリーンインフラという”ワード”に対して島嶼で認知が行き届いてないが、今回の事例発表を機会に、潜在している島嶼のグリーンインフラについて議論していきたい。

【沿岸・漁村-B5】
種の違いを考慮したマングローブの成長モデルの作成と長期的な分布変動の再現

発表者:中村航 (横浜国立大学都市イノベーション学府)
著者 中村航*(横浜国立大学)
Mick van der Wegen(IHE Delft), Uwe Best(IHE Delft)
中村由行(横浜国立大学)
鈴木崇之(横浜国立大学)
比嘉紘士(横浜国立大学)

要旨 マングローブは潮間帯に生息し,高い波浪減衰効果や浸食防止効果を持つ.マングローブは種により大きさや形状が異なるだけでなく,潮間帯の中でも好ましい生息環境が存在しており,沿岸域では帯状分布を形成することが知られている.今後マングローブをグリーンインフラとして活用するためには,長期的なマングローブ林の分布変動と種の遷移について理解する必要がある.そこで本研究では西表島由布島対岸と浦内川河口域に生息するヤエヤマヒルギ,オヒルギ,マヤプシキの現地観測データを元にマングローブの成長モデルを作成する.そして流体モデルDelft 3Dと組み合わせることで実際の環境下での長期的な分布変化と種の遷移を再現する.

【沿岸・漁村-B6】
バングラデシュ・シュンドルボン地域における沿岸流域保全の取組み

発表者:佐藤秀樹 (江戸川大学/日本環境教育フォーラム/バングラデシュ環境開発協会)
   Md. Maksudur Rahman  (バングラデシュ環境開発協会)
   Saumitro Chakrabarti  (バングラデシュ環境開発協会)
著者 佐藤秀樹*(江戸川大学/日本環境教育フォーラム/バングラデシュ環境開発協会)
Md. Maksudur Rahman(バングラデシュ環境開発協会)
Saumitro Chakrabarti(バングラデシュ環境開発協会)

要旨 約60万ヘクタールのマングローブ林と湿地帯が広がるバングラデシュのシュンドルボンはユネスコの世界自然遺産に登録され、ベンガルトラ等の野生動物が生息する自然環境の豊かな場所である。同地域と対岸を接する沿岸で暮らす人々は、漁業、農業や林業等、自然と共生した営みをしている。しかし、経済的な貧困の問題や人々の環境保全に対する意識が低いため、マングローブ林の過剰伐採等が課題となっている。また、サイクロンによる浸水被害等も多発し、同地域の重要な緑のインフラであるマングローブ林の再生・保全・維持管理のあり方が問われている。今回は、植林等の環境教育による地域住民の環境保全に対する意識の向上や彼らが同地域の緑のインフラを活用した生計向上の取組みについて紹介する。

【沿岸・漁村-B7】
盛土を伴い整備された海岸防災林の生育基盤の硬さがクロマツの根の発達に及ぼす影響

発表者:野口宏典 (国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所)
著者 野口 宏典*(森林総合研究所)
小野 賢二(森林総合研究所)
萩野 裕章(森林総合研究所)
鈴木 覚(森林総合研究所)

要旨 海岸林は、海からの風や砂から海岸域の建造物や農地を守るためのグリーンインフラとしての役割を果たしてきた。東北地方太平洋沖地震津波で甚大な被害を受けた海岸林の再生において、その生育基盤は植栽木の根の深さ方向の発達範囲を確保するために盛土を伴って整備される事例が多くなった。しかし、この生育基盤は従来の海岸林が植栽されていた海岸砂丘等の土壌よりも硬くなりやすく、そのことが根の発達を妨げることが懸念されている。そこで、盛土を伴い整備された海岸林の生育基盤において、耕起によって極度な硬さの解消を図った箇所とそうでない箇所に植栽したクロマツの根を3成長期にわたり調査を行ったので、その結果を報告する。

【沿岸・漁村-B8】
(仮)釜石市立唐丹小・中学校/唐丹児童館建設による植生回復に向けた造成手法

高沖哉 (中央大学 海岸港湾研究室)
著者 田所彩花*(中央大学)
渡部真史(中央大学)
有川太郎(中央大学)

要旨 釜石市唐丹町小白浜地区という漁業集落にて、東日本大震災で被災した小学校、中学校、児童館の再建が旧中学校の敷地で行われた。計画時、既に仮設校舎が建っており、主な建築可能範囲はその背後に残された裏山の急傾斜地であった。造成計画と建築計画を一体的に行い、できる限りなだらかで以前からそうであったかのような風景づくりを目指した。植物による造成法面の保護を行う上で、周囲の山林に溶け込むような植生回復に向けた植栽を行った。切土で表出した礫質土は植物の生育が困難なため、先駆植物を用いた植生マットを敷設した。また、将来的な斜面林の形成を促すため高木の苗木を植栽した。その樹種は周辺環境調査の結果に基づき選定した。

【沿岸・漁村-B9】
三次元数値シミュレーションによる砕波時における海岸林の波高減衰効果の検討

発表者:田所彩花 (中央大学 海岸港湾研究室)
著者 田所彩花*(中央大学)
渡部真史(中央大学)
有川太郎(中央大学)

著者 植生による波高減衰効果の実験的検討は数多くされてきた。しかし、砕波帯内における植生の効果を、数値シミュレーションを用いて検討した例は少ない。そこで、三次元数値シミュレーションを用いた砕波帯内における汎用的な沿岸植生のモデリング手法の確立を目的として、水理模型実験との比較を行った.水理模型実験としては,浅海域に設置した海岸林模型を用いて、砕波時における海岸林による波高減衰効果の検討を行った。実験との比較から数値シミュレーションの妥当性を確認したうえで、海岸林の抗力係数・慣性力係数を推定し、既往実験のKeulegan-Carpenter数とRe数に対する両係数の変化特性と比較し、傾向が一致していることが確認された 。

【沿岸・漁村-B10】
近江舞子プロジェクト

発表者:金田一郁子 (京阪電鉄不動産株式会社)
    芋瀬英里  (株式会社ウイン)
    武田重昭  (大阪府立大学)
著者 金田一郁子*(京阪電鉄不動産株式会社)
芋瀬英里*(株式会社ウイン)
武田重昭*(大阪府立大学)

要旨 滋賀県琵琶湖の沿岸部にはかつて、暮らしと強く結びついた内湖(ないこ)と呼ばれる特殊な水域が多く広がっていた。昭和初期までは40 数個(29.0 ㎢)の内湖が存在していたが、残存する内湖の数は 23 内湖(4.25 ㎢)にまで減少している。内湖は治水や利水といった人々の生活を支える機能だけではなく、ヨシ帯などを利用する魚や水鳥などの在来生物の生息場所として重要な役割を果たしてきた。
 本プロジェクトは、その内湖の1つである小松沼(近江舞子沼)のほとりに、アウトドアアクテビティを楽しむ宿泊施設を整備することで、経済活動に支えられた持続的な自然環境の保全・再生の仕組みを構築するものです。環境調査を行い、その土地に育まれた自然の営みを理解し、陸域と水域の移行帯として重要なエコトーンを再形成するとともに、自然生態系と人の生活・活動が調和する空間づくりを目指しています。

【沿岸・漁村-B11】
浅海底地形測量と大規模波浪数値計算に基づくサンゴ礁地形の底面粗度の評価

発表者:渡部真史 (中央大学)
著者 渡部真史*(中央大学)
菅浩伸(九州大学)
渡久地健(琉球大学)
中島洋典(有明工業高等専門学校)
Volker Roeber(ポー・エ・デ・ペイ・ド・ラドゥール大学)
有川太郎(中央大学)

要旨 サンゴ礁地形の底面粗度は非常に大きく、サンゴ礁地形での津波や波浪の挙動を明らかにするためには、サンゴ礁上での底面粗度を適切に評価する必要がある。本研究では、サンゴ礁地形の底面粗度を明らかにするために、沖縄県コマカ島の浅海底においてマルチビーム測量を行い、測量した浅海底地形を用いた3次元もしくは2次元の波浪計算を実施した。その結果、波動摩擦係数が2.0もしくは相当祖度を0.4とした時、現地の有義波高分布の実測値を良好に再現できた。このように、サンゴ礁の適切な底面粗度を明らかにすることができれば、サンゴ礁が津波や波浪の規模を低減するグリーンインフラとしての機能を適切に評価することが可能となる。

【沿岸・漁村-B12】
ECO-DRR using Pandunus Forest in Saint Martin Island, Bangladesh

発表者:Shakila Kayum (熊本大学)
著者 シェキラ カイヤム(熊本大学)
皆川朋子(熊本大学)
島谷幸宏(九州大学)

要旨 his study aims to evaluate the nature and impact of natural disasters in Bangladesh and analyze the nature-based solution for some hydro-meteorological hazards along the coastal areas. A case study is considered of Saint Martin Island Pandunus forest as the natural barrier to the damages disasters. In addition, it is very cheap comparing to the structural measures and have no negative impact on the environment. Moreover, this forest is fostering the eco-system. The Pandunus forest is under threats from erosion and man-made destruction. Planning and careful design of more Pandunus tree is essential for prevention and mitigation of natural disasters and should be done more cautiously to make resilient community against the disasters.

【沿岸・漁村-B13】
自然および地域社会に対する心理的関係性とそれに影響する社会的属性および習慣的要因:自然再生が進む地域の中学生を対象とした分析

発表者:黒田琴絵 (株式会社エイト日本技術開発)
著者 黒田琴絵1,2*
小川みふゆ1
吉田丈人1,3
所属:1 東京大学総合文化研究科広域システム科学系・2 株式会社エイト日本技術開発・3総合地球環境学研究所

要旨 持続可能な社会の構築を目指す上で、環境および社会問題などの解決に向けて自ら行動する生徒を育成するためには人と自然の心理的関係性や、人と場所や地域住民との心理的関係性が重要であることが示唆されている。しかし、これらの心理的関係性がどのように関わりあっているかは十分に理解されていない。そのため、本研究では自然再生が進む三方五湖地域の中学生を対象に2つの検討を行った。第一の検討では、〈現在の自然との関係性〉、〈現在の地域社会との関係性〉、〈理想の自然との関係性〉、〈理想の地域社会との関係性〉の4つの要素間の関係を検討し、人と自然および人と地域社会の心理的関係性がどのように関わっているかを明らかにした。第二の検討では、より良いESDや環境教育の方法を検討するため、先行研究から影響が示唆されている5つの社会的属性および7つの習慣的要因と、第一の検討で用いた4つの要素関の関係性を調べた。これらの検討の結果から考えた、環境教育やESDへの提案を発表する。

【沿岸・漁村-B14】
イギリスにおける沿岸域グリーンインフラ事業の展開

発表者:山下博美 (立命館アジア太平洋大学)
著者 山下博美*(立命館アジア太平洋大学)

要旨 イギリスでは、生物多様性向上と地球温暖化対策、洪水防止などの事業目的が組み合わせられたグリーンインフラ事業が多数実践されている。それらの事業の進められ方や課題を整理することによって、日本で今後どのような環境整備が必要であるかを考える。

【沿岸・漁村-B15】
横浜市沿岸域におけるブルーカーボン生態系を活用したグリーンインフラの取組

発表者:吉原哲 (八千代エンジニヤリング株式会社)
著者 吉原哲*(八千代エンジニヤリング株式会社)
末廣富士代(八千代エンジニヤリング株式会社)
鈴木広美(八千代エンジニヤリング株式会社)
岡崎修司(横浜市温暖化対策統括本部)

要旨 横浜市では,海洋を起点とした環境・社会・経済の好循環を生み出すため,「ブルーカーボン」「ブルーリソース」「親しみやすい海づくり」を推進する「横浜ブルーカーボン事業」の検討を平成23年度より行っている.本事業では,これまでに「わかめの地産地消」,「海水ヒートポンプへの更新」「LNGタグボートへの更新」等のブルーリソースによるCO2固定・削減効果の定量化と横浜市独自のクレジット制度運用について社会実験等を実施し,検討してきた.本報では新たにブルーカーボンを対象としたクレジットを認証した令和元年度の取組内容及び事業拡大に向けた新たなCO2固定・削減量の定量化検討結果について報告する.

ZOOM 3 12:00~13:30

【都心・郊外-C1】
グリーンインフラに着目した東急の経営戦略

発表者:西嶋啓一郎  (日本経済大学大学院)
著者 西嶋 啓一郎(日本経済大学大学院)
ZHOU XIAOTIAN(日本経済大学大学院学生)

要旨 首都圏西南部に路線をもつ東急は、渋沢栄一により田園都市株式会社として創業されたが、渋沢はエベネザー・ハワードの「田園都市」をモデルとしたまちづくりを目指した。東急の主要路線のひとつである田園都市線はまさにこの理念を路線名に冠したものである。田園都市株式会社創業から約1世紀に及ぶ東急の沿線のまちづくりは、日本型田園都市建設と考えられるが、東急の鉄道沿線まちづくりにおける経営戦略とはどのようなものであったのか。

【都心・郊外-C2】
境界を越える公園緑地系統-エメラルド・ネックレス内外の樹冠のつながりが示すこと

発表者:村上修一 (滋賀県立大学環境科学部)
著者 村上 修一*(滋賀県立大学)

要旨 都市の骨格を成す公園緑地系統を,道路など硬い表層の境界を越えて重層するつながりとして再定義できないか。そのような問題意識のもと,アメリカ合衆国ボストン市のエメラルド・ネックレスを対象として,外縁部および隣接街路・街区における樹冠の分布状況を把握した。2019年8月,航空写真を参照しながら現地踏査を行ったところ,公園の内外で樹冠がつながっている状況を28地点において確認することができた。当該地点において,樹冠の形状や樹種を記録するとともに,全天球写真による撮影記録を行った。樹冠の調査結果と当該地点周辺の土地利用とを照合し,冒頭の課題について考究した。

【都心・郊外-C3】
都市緑地に植栽された複数の広葉樹の樹冠通過雨量評価

発表者:長野龍平 (株式会社大林組)
著者 長野 龍平*(株式会社大林組)
十河潔司(株式会社大林組)
杉本英夫(株式会社大林組)

要旨 集中豪雨被害を軽減する一つの手法として、降雨遮断効果が高い樹種を戦略的に配植し、地面に到達する雨を減少させる方法がある。しかし、都市緑地で使用頻度が高い樹種の降雨遮断率を測定した例はほとんどない。そこで、品川セントラルガーデンおよび大林組技術研究所において、樹冠通過雨率を測定した。樹冠通過雨率はレッドロビンやヤマツツジで小さく、ソメイヨシノやネズミモチで大きかった。12樹種の樹冠通過雨率と開空率の関係を見ると、開空率が小さいほど樹冠通過率が小さい傾向が見られた。そのため、集中豪雨被害を軽減する緑地設計のためには、開空率に着目することが重要であると考えられた。

【都心・郊外-C4】
都市農業の浸水緩和機能の評価〜京都市賀茂川集水域の事例〜

発表者:張博訳文 (京都大学大学院地球環境学舎)
著者 張 博訳文*(京都大学大学院地球環境学舎)
柴田 昌三(京都大学大学院地球環境学舎)

要旨 地球温暖化等の影響で、特に日本では大雨の多発・激甚化により、都市部では内水による浸水被害が増加し続けている。これからの世界各国が発展途上段階から少産少死社会に変容していく中で、低いコストの視点から既存の都市緑地等をグリーンインフラとして再評価する必要がある。都市農業は都市緑地の一つであり、環境的な機能の中では特に洪水緩和機能が期待されている。本研究では京都市北部に位置し、都市農地が密集する賀茂川集水域を対象地とし、都市農地の洪水緩和機能を土地利用とSWMMにおけるシミュレーション二つの面から評価した。

【都心・郊外-C5】
北九州市響灘ビオトープにおける生物多様性の保全の取り組み・グリーンインフラとしての活用事例

発表者:安枝裕司 (株式会社エコプラン研究所)
著者 安枝裕司*(株式会社エコプラン研究所)
長谷川啓一(福山コンサルタント)
深町健太郎(福山コンサルタント)
デワンカー バート(北九州市立大学国際環境工学部)

要旨 「北九州市響灘ビオトープ」は、かつて産業廃棄物処分場であった埋め立て地が、歳月と生命の営みが多くの生き物の生息場所を創り出し、約500種の生物の生息場所になった。そこにはベッコウトンボやチュウヒ、カヤネズミをはじめとする希少種の生息も確認され、生物生息環境を保全しつつ、市民と自然とのふれあいを通じて生物多様性などの自然環境を学ぶ施設として2012年に開園した。本園は2019年度より3企業の共同事業体が指定管理者制度に指定され、管理運営業務を担っている。
本報では、指定管理者独自の生物保全のノウハウや市民参加のアイデアを活かした運営について紹介しつつ、北九州市のグリーンインフラ拠点として将来的に目指す姿を示す。

【都心・郊外-C6】
市民協働がつなぐグリーンインフラ:筑波山麓と研究学園都市の里山保全活動を事例に

発表者:田中ひとみ (NPO法人つくば環境フォーラム)
著者 田中 ひとみ*(NPO法人つくば環境フォーラム)
神宮 翔真(早稲田大学人間環境科学学術院)
佐伯 いく代(筑波大学)
Meryem Bouhoute (筑波大学)

要旨 つくば環境フォーラムでは、茨城県つくば市をフィールドに、郊外の農村部(すそみの森)と都市の中心部(葛城の森)とで様々な里山保全活動を実施している。すそみの森は、筑波山塊につながる谷津田周辺の雑木林(民有林)で、水郷筑波国定公園の一部である。一方、葛城の森は、大規模な開発の中で残された平地林(茨城県有地及び民有保安林)である。本発表では、発表者らによる約15年間にわたる保全活動にもとづき、市民協働がもたらしたグリーンインフラの現状と成果、今後の課題等について述べる。また、すそみの森と葛城の森において筑波大学と協働して実施した、5年間にわたるカメラトラップによる動物調査の結果についても報告する。

【都心・郊外-C7】
(仮)日本設計のプロジェクトにおける緑地と雨水のデザイン

発表者:太田厚 (株式会社日本設計)
著者 太田 厚*(株式会社日本設計)
多胡 友嘉代*(株式会社日本設計)
三輪 潤平*(株式会社日本設計)
野口 友里恵*(株式会社日本設計)

要旨 (仮)私たち日本設計は、多様なエリア・スケールのプロジェクトにおいて、自然が持つ多様な機能を尊重し、多様な主体と協力しながら新しい価値を共創することを、長きに渡り実践してきました。①環境を向上し魅力的な居場所となる緑地づくりがリードする都市の再構築、②建築物と自然が融合した屋外空間の創出、③環境負荷の少ない郊外開発や生物多様性に配慮した緑地の再生・創出、これらの事例を通じて、今こそ改めて見直されている、人と自然が共生するデザイン事例を紹介します。

【都心・郊外-C8】
伝統的雨庭:真如寺境内の雨水管理機能評価

発表者:阿野晃秀 (京都先端科学大学)
著者 阿野晃秀*(京都先端科学大学)
丹羽英之(京都先端科学大学)
山下三平(九州産業大学)
佐藤正吾(京都市都市緑化協会)
深町加津枝(京都大学)
森本幸裕(京都大学)

要旨 激甚化する都市型水害への対策として主に欧米で先進的に導入されてきた雨庭だが、我が国での普及推進のためには日本の風土に適した技術を追究する必要がある。そこで、近代的な土木技術が無かった時代に着目し、京都の真如寺境内における雨水管理機能を定点観測カメラと水位計を用いて観測・評価した(期間は2019/3/19-11/8、計測間隔は10分)。結果、観測された75回の降雨イベントの内、敷地外へのオーバーフローが観測されたのは4回であり、境内の高い雨水流出抑制機能が示唆された。また、降雨のピークと境内の排水経路網の流末に位置する放生池の貯留ピーク時刻に最大6時間半の遅れが生じ、枯れ流や素掘りの水路による高い流出遅延効果も確認された。

【都心・郊外-C9】
レインガーデンのグリーンインフラとしての機能

発表者:井上純大 (住友林業株式会社)
著者 井上 純大*(住友林業株式会社)
石井 宏美(住友林業株式会社)
三坂 育正(日本工業大学)
日下部 友昭(住友林業緑化株式会社)
田代 隆一(住友林業緑化株式会社)

要旨 茨城県つくば市の住友林業株式会社・筑波研究所敷地内に2019年10月に竣工したレインガーデンについて,2020年4月から約4か月間,1分間隔で雨水流出・流入量を計測し,期間中の雨水貯留機能、雨水流出抑制機能と降雨状況との関係を解析,機能評価を行った.また本レインガーデンは暑熱緩和機能を期待して雨水を一時的に貯留し,周辺に高木を中心とする緑地帯を設けた枯山水型の庭園である.今回、レインガーデン中央部にて夏期の温熱環境を測定し、貯留水および緑がもたらす暑熱緩和機能の評価を行った.

【都心・郊外-C10】
流出抑制型の雨庭の開発と効果検証

発表者:大目雅公 (九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻 流域システム工学研究室)
著者 大目雅公*(九州大学)
田浦扶充子(九州大学)
森山聡之(福岡工業大学)
島谷幸宏(九州大学)

要旨 土壌への貯留浸透により流出抑制を行う雨庭と呼ばれるグリーンインフラ技術について、福岡県福岡市城南区樋井川流域のコミュニティカフェ,戸建住宅に雨庭を開発しその流出抑制効果を検証した。開発時には福岡市下水道整備計画の流下能力水準等を参考に流出抑制目標を設定し、雨庭を設計した。雨庭実装後、実際に設計時に計算した推定流出抑制効果が発揮されるかどうかを確認するため、コミュニティカフェでは現地での導水テスト、戸建住宅では水収支モニタリングにより流出抑制効果を検証した。その結果、設計時の推定流出抑制効果を上回る流出抑制効果が発揮された。

【都心・郊外-C11】
ミズベ価値共感プラットフォーム ミズベリングとよがわ

発表者:空かおり (株式会社オリエンタルコンサルタンツ(ミズベリングとよがわ事務局))
著者 空かおり*(株式会社 オリエンタルコンサルタンツ)
中村洋平(国土交通省中部地方整備局豊橋河川事務所)

要旨 洪水と共存しながら、その恵みにより発展してきた豊川。その豊川の水辺をもっと楽しく・魅力的にしたい。そんな想いから、「豊川の恵みや地域のリスクを地域住民に知ってもらい、豊川に関する情報が集まり、意見交換ができるプラットフォームづくり」を平成30年度から活動を進めています。「ミズベリングとよがわ」では、ワクワク作戦会議やとよがわイメージソングづくり、水辺を楽しむゆる~いイベント等を行っています。水辺というグリーンインフラと私たちの豊かな暮らし方を多様な主体とソーシャルデザインでつくり始めています。この取り組みは現在進行形。水辺の心地よさに共感する仲間がどんどん増えています。

【都心・郊外-C12】
東京都練馬区の農住混在地域における区民の生態系サービス評価とグリーンインフラ配置

発表者:中村裕史 (東京都市大学大学院 環境情報学研究科)
著者 中村裕史*(東京都市大学大学院)
横田樹広(東京都市大学)

要旨 本研究は東京都練馬区の農住混在地域における住宅地内の農地・緑地の残存形態の空間分析と、住民の生態系サービスへの相乗的便益に対する意識調査を統合する研究である。農住混在地域において農地が有する多面的機能を活かした効果的なグリーンインフラの配置には、住民が日常的にどのような機会・場所で、サービスを複数認識し、利用しているのか把握することが必要である。一方、新型コロナウィルスの影響により衛生・災害等のリスク回避、リスク下の緑地利用の在り方を考え直す機会にある。本研究ではポストコロナの住民の意識・利用行動の変化を踏まえた上で混在地域における効果的なグリーンインフラの配置計画に必要な要件を明らかにする。

【都心・郊外-C13】
The impact of land use on urban plant biodiversity: a case study of Kyoto city

発表者:Jiefeng KANG(康傑鋒) (京都大学)
著者 康 傑鋒*(京都大学)
柴田 昌三(京都大学)

要旨 investigated in Kyoto city. We recorded 1400 trees and 1194 square meters of shrubs, belonging to 224 species. Residential areas have the highest total richness, while commercial areas have low total richness. Quadrat richness is highly positive correlated with plant density, Shannon index, and Simpson index, but not with evenness. Residential plots have higher tree plant density, richness, and Shannon index; for shrubs, only plant density is significantly difference. Our study can provide insight to urban biodiversity design.

【都心・郊外-C14】
東京都世田谷区における戸建て住宅のGI活用に向けた市民科学プログラムの検討

発表者:横田樹広 (東京都市大学)
著者 横田 樹広*(東京都市大学)
丹羽 由佳理(東京都市大学)

要旨 戸建て住宅は、住民一人あたりで見れば、雨水の流出源となる人工面や、流出経路に関わる接道部立面の面積が大きい土地利用形態である。東京都世田谷区の谷沢川・丸子川流域は、2019年台風19号でも被害を生じた内水氾濫リスクを抱える一方、国分寺崖線を含んだ集水域に、戸建て住宅とその庭が地形に沿って連なる緑のストックを有する。本流域を対象に、流域住民の参画を想定した庭の雨水流出抑制機能の調査ツールを開発し、その適用を行った。また、表流水の流向・流路に沿って、雨水浸透とシナジーのある緑の機能を庭で発掘し、その街区内でのつながりを調査して流域対策を促進する市民科学プログラムの検討状況について報告する。

【都心・郊外-C15】
だんじり祭りと地区防災計画の策定

発表者:松田哲裕 (株式会社ウエスコ)
著者 松田哲裕*(株式会社ウエスコ)

要旨 平成26年に地区防災計画制度ができ、全国で多くの地区防災計画が策定されている。一方、地区防災計画を策定後に、計画に記載した内容を具体的に行動するには様々な課題が残る。私が個人的に関わる地元宝塚市川面地区での取り組みは、地区防災計画策定に関する取り組みを始めて4年が経過したが、活発な議論と様々な取り組みが継続している。その秘策を現場をみてきた視点から報告したい。

【都心・郊外-C16】
持続可能な地域構築に向けた将来の土地利用予測・評価 ~金沢市を例に~

発表者:佐藤丈実 (いであ株式会社)
著者 佐藤 丈実(いであ株式会社)
幸福 智(いであ株式会社)
早坂 裕幸(いであ株式会社)
上野 裕介(石川県立大学)

要旨 金沢市では、SDGsに関する行動計画「金沢ミライシナリオ」において、シナリオ①自然・歴史・文化に立脚したまちづくりを進めるとしており、自然と調和した、災害に強いまちを目指すこと、グリーンインフラを作り使うことが記載されている。しかし、このシナリオには様々な個々の行動方針は記載されているが、持続可能なまちづくりに向けた目指すべき土地の利用に関する記載は少ない。そこで本研究では、目指すべきまちの将来像を具体化するため、複数の将来シナリオを設定し、今後どのように土地利用が変化するか予測、地図化するとともに、グリーンインフラの展開可能性について評価した。

【都心・郊外-C17】
雨水利用実験住宅での雨水活用に伴う水害抑止効果の確認

発表者:渡辺亮一 (福岡大学工学部社会デザイン工学科)
著者 渡辺 亮一*(福岡大学)
浜田 晃規(福岡大学)
角銅久美子(福岡大学)

要旨 本研究では,福岡市城南区内に2012年4月に完成した雨水利用実験住宅における観測データをもとに,大規模渇水時の雨水活用可能性を実績データを解析することにより,その有効性を明らかにし,雨水を貯留することによる水害抑制効果と合わせてブルーストック活用可能性の検討,各戸貯留における効果を定量的に把握するための基礎データを蓄積し,評価していくことを目的としている.

【都心・郊外-C18】
京都市内における街路樹の光合成機能評価〜乾燥ストレス耐性・大気汚染ストレス耐性〜

発表者:半場祐子 (京都工芸繊維大学)
著者 半場 祐子*(京都工芸繊維大学)
松本 真由(京都工芸繊維大学)
木下 智光(京都工芸繊維大学)
清水 啓史(京都工芸繊維大学)
堀家 広樹(京都工芸繊維大学)
久米 篤(九州大学)

要旨 街路樹は町並みを彩るだけでなく、ヒートアイランドの緩和、CO2吸収、大気汚染物質の吸着など重要な役割をもつ。光合成は街路樹の機能を支える基本的なはたらきである。しかし、夏の高温による乾燥ストレスや、大気汚染などの環境ストレスは街路樹の光合成機能低下をもたらしている。適切な樹種の選定や管理のためには、ストレス耐性に関して街路樹の光合成機能評価を行う必要がある。日本国内に植栽されている代表的な街路樹を調査した結果、イチョウは大気汚染・乾燥ストレスともに非常に耐性が高いことが明らかになった。また、ヒラドツツジは京都市内でも大気汚染レベルが高い場所で明らかに光合成機能が低下していることが示された。

【都心・郊外-C19】
埼玉県の平地丘陵部におけるホンドタヌキの生息適地推定:捕獲データの活用事例

発表者:中澤大 (東京農工大学農学府農学専攻自然環境資源コース自然環境保全学プログラム)
著者 中澤 大*(東京農工大学大学院)
角田 裕志(埼玉県環境科学国際センター)
金子 弥生(東京農工大学農学研究院)

要旨 ホンドタヌキ(Nyctereutes procynoides viverrinus、以下タヌキ)は、近年首都圏の平野部を中心に分布を拡大している。しかし都市環境への進出に伴って、ロードキルなどの問題も起きている。都市環境における人とタヌキの共存のための緑地保全に資することを目的として、埼玉県アライグマ駆除事業におけるタヌキの錯誤捕獲データ(n=1279, 2012-2017年)を用いて、MaxEntモデルによって生息適地モデルを構築した。その結果、生息好適地は埼玉県中央部に多く、農地、草地や緑の多い住宅地が重要であることが示された。一方、生息不適地は南東部の市街地とその周辺にベルト状に存在する。モデルの精度を示すAUCは0.65-0.68で、主に捕獲場所の偏りに起因した精度の低い地域が南西部の山林に見られた。

ZOOM 4 12:00~13:30

【空間横断・その他-D-1】
高濃度グルコースを生産可能な水草・海藻の省力化養殖による富栄養化対策

発表者:岡本優 (アルジェカルチャーテック合同会社)
著者 岡本優*

要旨 安全で安価な発泡ガラス製浮遊担体を着生基材として水草・海藻を養殖する。水面に浮遊した状態で水草・海藻を養殖することによって省力化・低コスト化して回収できる。水草・海藻の幼体を着生した浮遊担体を富栄養化水域に散布し、成長後に回収することによって栄養塩を回収する。養殖する水草・海藻はエタノールや生分解性プラスチックの原料となるグルコースを高濃度に生産可能な水草・海藻とする。

【空間横断・その他-D-2】
COVID-19 の外出自粛前後におけるストレスの変化と行動様式からみた地域空間の利用と癒し効果

発表者:上原三知 (信州大学社会基盤研究所地域デザイン部門 (農学部併任))
著者 上原三知*(信州大学社会基盤研究所)
林 一樹(信州大学社会基盤研究所)
林靖人(信州大学社会基盤研究所)
丸橋昌太郎(信州大学社会基盤研究所)
新井雄喜(信州大学社会基盤研究所)

要旨 COVID-19 の外出自粛は全世界で実施され、長期間における行動の制限によるストレスの影響は今後も重要な課題になると考えられる。すでに医療関係者のストレスに関する分析が主に中国人を対象に実施、報告されている。このような中で日本における主要な都市と、田園地域の住民を対象に外出自粛前後のストレスおよび行動範囲の変化に関する調査を実施した。その結果、ストレスおよび活気に関わる指標と地域の特性に応じた関連性が確認されたのでその概要を報告する。本報告は全世界的な新型ウィルスによる行動制限下において、公園緑地や森林、農地などの空間が住民に利用され、グリーンインフラとして癒しやストレス軽減効果を発揮したかどうかに関する基礎的な分析結果を共有するものである。

【空間横断・その他-D-3】
日本の生物多様性地域戦略に関わる協議・活動・策定後の意識変化には何が影響するか?

発表者:小川みふゆ (東京大学)
著者 小川 みふゆ*(東京大学)
曽我昌史(東京大学)
吉田 丈人(地球研,東京大学)

要旨 生態系管理における効果的な取組みを推進するには、生態系と人間社会の密接なつながりを理解することが欠かせない。社会-生態系の概念的枠組みはOstrom (2009)などによって提示されているものの、生態系と人間社会の両方を同時に評価・検討した研究はいまだ少ない。本研究は、生態系管理の効果的な取組みにおいて生態系と人間社会のどのような要因に配慮することが重要なのかを明らかにすることを目的とし、市区町村の生物多様性地域戦略に関わる協議・活動・策定後の意識変化が、各種の社会-生態的要因との関係を解析した。とくに、多様な主体の参加や伝統知・地域知の活用に着目して分析を行った。

【空間横断・その他-D-4】
滋賀県の流域治水の取組みは生態系サービスの供給にどう影響するか?:シナリオ分析によるグリーンインフラの多機能性評価

発表者:黄エンケイ (総合地球研究学研究所)
著者 黄 琬惠*(総合地球環境学研究所)
橋本 禅(東京大学)
吉田丈人(総合地球環境学研究所・東京大学)
齊藤 修(地球環境戦略研究機関)
瀧健太郎(滋賀県立大学)

要旨 日本では気候変動による局地的な豪雨の発生頻度が増加傾向にあり,水害への対応が急務となっている。本研究では,滋賀県における流域治水の取組を題材とし、水害リスクの軽減を目的とした土地利用・建築規制が水害リスクの軽減や生態系サービスの供給に与える影響の評価の考え方と分析事例を紹介する。具体的には滋賀県を対象に、政策の介入の有無を想定した複数の将来シナリオを反映しながら、土地利用シミュレーションにより2050年の土地利用の空間分布を予測するとともに、政策介入が水害リスクの低減を含め生態系サービスの供給に与える影響を評価する。

【空間横断・その他-D-5】
高解像度人工衛星画像とAIを用いた河川域植生図作成手法

発表者:宮脇成生 (株式会社建設環境研究所)
著者 宮脇成生(株式会社 建設環境研究所)
伊川耕太(株式会社 建設環境研究所)
鈴木研二(日本スペースイメージング株式会社)
鈴置由紀洋(日本スペースイメージング株式会社)
池内幸司(東京大学)

要旨 河川水辺の生態系ネットワーク形成において、その計画の基礎となるのが、河川の植生図である。本研究では、衛星リモートセンシング、地形情報、機械学習に基づく植生分類手法を開発し、河川の植生マッピングのコスト削減と精度向上を図った。まず、衛星画像をオブジェクトベースの分類処理を行い、衛星画像のスペクトル情報(4バンド、8バンド)、植生指数、地形情報、植生区分(現地調査による)を各オブジェクトに付与した。このデータに、機械学習による植生分類を行った。その結果、機械学習による分類と現地調査データとの一致率は、8バンドデータ、地形情報を用いた植生分類モデルの方が高いことが確認され、コストも従来手法を下回ることが示された。

【空間横断・その他-D-6】
「宮崎グリーンインフラ研究会」活動報告

発表者:宮川央輝 (宮崎グリーンインフラ研究会)
著者 宮川 央輝*(株式会社新日本技術コンサルタント)
北川 義男(南九州大学 名誉教授)
関西 剛康(南九州大学)
飯田 稔(飯田樹木医事務所)

要旨 「グローバルからローカルまで結びついたグリーンインフラ」と「宮崎県らしさが発揮されるグリーンインフラ」を目指した地域研究と活動報告

【空間横断・その他-D-7】
水害リスクとリスク認知のギャップ分析とその都道府県間の差異に関する考察

発表者:堀啓子 (国際連合大学サステイナビリティ高等研究所)
著者 堀 啓子* (国際連合大学)
齊藤 修(地球環境戦略研究機関)
松井 孝典(大阪大学)
橋本 禅(東京大学)
吉田 丈人(総合地球環境学研究所・東京大学)
黄 琬惠(総合地球環境学研究所)
熊谷 惇也(九州大学)
若松 美保子(東京海洋大学)
馬奈木 俊介(九州大学)

要旨 気候変動によって豪雨の頻度・強度が増加する近年、水害の激甚化が観測および予測されており、国民一人一人が各地域の水害発生確率を正しく認識し、防災や減災に取り組む必要性が高まっている。よって本研究では、水害リスクに関する認知について全国を対象とした社会調査を実施し、ハザードマップと重ね合わせることで、水害リスクの所在とその認知の間のギャップ分析を都道府県別に行った。各都道府県に存在するギャップの差異について、各地の地理的特性や過去の被災履歴などと照らし合わせることでその要因を考察し、今後水害に対する防災意識の向上が特に必要となる地域の特定や、求められる防災上の取り組みについての議論を行った。

【空間横断・その他-D-8】
「実践的な河川環境の評価・改善の手引き(案)」の活用状況と課題

発表者:中村圭吾 (土木研究所)
著者 中村圭吾*(土木研究所)

要旨 「実践的な河川環境の評価・改善の手引き(案)」は、簡易的かつ定量的に河川環境を評価し、改善することを目的として作成されたものである。全国の活用事例を収集・分析したところ、簡易的かつ定量的な河川環境評価手法として有効であること、河川毎の工夫や自然再生箇所の選定など実務における活用が進んでいることが分かった。同時に、指標の妥当性の検証などの手法の課題についても検討した。

【空間横断・その他-D-9】
福井県におけるグリーンインフラ実装における合意形成と維持管理のあり方に関する研究

発表者:花房昌哉 (慶應義塾大学政策・メディア研究科)
著者 花房 昌哉*(慶應義塾大学)
幸福 智(いであ株式会社)
伊勢 慧(いであ株式会社)
吉田 丈人(東京大学)
一ノ瀬 友博 (慶應義塾大学)

要旨 グリーンインフラ(GI)を推進するために、多様な主体による合意形成や持続可能な維持管理が不可欠である。本研究は、コウノトリの野生復帰事業を行う福井県を対象とした。まず、自然環境保全と関連づけながら、GIを実装する将来土地利用シナリオを作成する。次に、福井県民へのアンケートを実施し、GIの支払い意思額を計算すると共に、GI実装シナリオをどういう人が支持するのかを明らかにする。最終的には、政策担当者らと議論を行うことを予定している。結果として、GIの合意形成と維持管理に関して、コスト・法律・市民意識において課題が明らかとなる。さらに、それぞれのスケールで、最適な合意形成や維持管理のモデルを示す。

【空間横断・その他-D-10】
地域(まち)を企業に見立ててグリーンインフラの評価指標を考える

発表者:幸福智 (いであ株式会社)
著者 幸福 智*(いであ株式会社)
佐藤 丈実(いであ株式会社)
早坂 裕幸(いであ株式会社)
上野 裕介(石川県立大学)

要旨 近年、「統合報告」に取り組む企業が増加している。統合報告への取組は、投資家との対話等を通して、企業の持続的な価値向上を実現するための課題の発見と解決に貢献する。
演者は、グリーンインフラとは、余剰となっていた自然資本を活用しつつ、他の資本への波及効果と併せながら、魅力的かつ持続可能な地域経営を行うという「経営理念」であると考える。そこで本稿では、具体的な地域を設定し、企業の統合報告で標準的に用いられている6つ資本分類(財務、製造、知的、人的、社会・関係、自然資本)を応用し、地域のグリーンインフラ経営におけるKPIや情報開示における指標設定を試みたので、報告する。

【空間横断・その他-D-11】
都市と森林における炭素ストックの将来推計ー炭素ストック最大化に向けた木造住宅の役割ー

発表者:山下奈穂 (名古屋大学大学院 環境学研究科)
著者 山下奈穂*(名古屋大学)
加用千裕(東京農工大学)
谷川寛樹(名古屋大学)

要旨 本研究は、都市と森林の炭素ストック最大化に関する研究である。従来の炭素ストック研究では、都市もしくは森林の一側面のみに着目したものが多く、両者の繋がりを意識した総合的な炭素ストック評価は行われていない。住宅は都市における炭素貯蔵庫であり、住宅の利用が木材需給を通して森林の炭素ストックに与える影響を考慮する必要がある。本研究では、複数の住宅政策シナリオ下において、都市と森林の将来炭素ストック量の推計を行った。推計の結果、木造住宅の需要増と長寿命化によって都市と森林の炭素ストックは最大化し、現状維持シナリオと比較して平均で0.6億t-C炭素ストックが増加することが明らかになった。

【空間横断・その他-D-12】
日本におけるグリーンインフラの捉え方

発表者:西田貴明 (京都産業大学生命科学部)
著者 西田貴明(京都産業大学)

要旨 “グリーンインフラ(GI)”は、当初、欧米において2010年前後から行政の計画に導入され、これを受けて様々な国際会議において取り上げられてきた。日本では、2015年に国土交通省の行政計画にGIが初めて明記され、その後、様々な省庁の行政計画において導入されている。2020年になると省庁だけでなく、地方自治体の様々な行政計画においてGIが盛り込まれつつある。一方で、国内外の行政の文書やレポートでは、GIは多様な捉え方がなされており、一般的な理解が難しいと言う指摘もある。今後のGIの議論を円滑に進めるために、国内外の既往のGIの捉え方を整理したい。

【空間横断・その他-D-13】
IUCN NbSグローバルスタンダードの背景と概要

発表者:古田尚也 (IUCN日本リエゾンオフィス/大正大学)
著者 古田尚也(IUCN/大正大学)

要旨 NbS(Nature-based Solution)はIUCNが約10年前に作り出した概念であるが、昨今急速に国際機関や欧州諸国で使われ始めている。このNbSはグリーンインフラやEco-DRRなどを包含するいわゆるアンブレラコンセプトであり、2016年にはIUCNの世界総会でその定義が定められた。さらに、2020年7月には8つの原則と28の指標から構成されたNbSグローバルスタンダードが公表された。このグローバルスタンダードは、NbSのコンセプトを実際の現場でのプロジェクトに落とし込む助けとなることを目的として作られたものである。本発表では、この新しいIUCNのNbSグローバルスタンダードの概要を紹介するとともに、その歴史的背景や今後の展望についても紹介する。

【空間横断・その他-D-14】
機械学習モデルによる浸水ハザードの日本全国評価

発表者:饗庭正寛 (総合地球環境学研究所)
著者 饗庭正寛*(総合地球環境学研究所)
山田 由美(慶應義塾大学大学院, 総合地球環境学研究所)
瀧 健太郎(滋賀県立大学, 総合地球環境学研究所)
一ノ瀬 友博(慶應義塾大学, 総合地球環境学研究所)
吉田 丈人(総合地球環境学研究所, 東京大学)

要旨 防災・減災に広く活用されている浸水想定区域図では、小規模河川や内水氾濫による浸水ハザードはしばしば考慮されていない。一部の自治体では、これらを考慮した浸水ハザードが公表されているが、コスト等の問題から日本全国を対象とした評価には至っていない。本研究では、滋賀県が公表している網羅的な浸水ハザード(浸水深)と地形の関係を勾配ブースティングでモデル化し、全国に外挿することを試みた。得られたモデルは、交差検証および過去の浸水実績を用いた精度検証で一定の精度を示した。重要な地形変数は、窪地比率や窪地の深度、集水面積であった。今後は、Eco-DRRの評価や社会実装における広範な活用が期待される。

【空間横断・その他-D-15】
厄介モノから見るグリーンインフラ

発表者:益子美由希 (農研機構中央農業研究センター鳥獣害グループ)
著者 益子美由希(農研機構)

要旨 我々人間の活動は、アフターケアなしでは、当初思い描いた姿と異なる事態を招く場合がある。グリーンインフラは、生態系ネットワークの形成を通じて生物の生息・生育環境の保全・創出に寄与するものである。しかし、生物のすみかと人の生活圏が近接し、まちなかでのムクドリの大群による迷惑被害やイノシシによる農業・生活被害を誘発するなど、生物との軋轢の原因をもたらすこともある。本発表では、こうした厄介モノの生物の側からグリーンインフラを捉える視点を提示し、現場に応じた軋轢対処の考え方について、集団繁殖性サギ類コロニーでの迷惑問題を題材に整理する。

【空間横断・その他-D-16】
人口減少下の課題に対応した「国土の管理構想」の検討について

発表者:谷垣佐智子 (国土交通省国土政策局総合計画課国土管理企画室)
著者 谷垣佐智子(国土交通省国土政策局総合計画課国土管理企画室)

要旨 国土交通省国土政策局では、人口減少下の課題に対応した国土管理のあり方を示す「国土の管理構想」の検討を進めています。「国土の管理構想」では、国土利用計画で示された「複合的な施策の推進」と「国土の選択的利用」による適切な国土管理を「国民的経営」のもと進めていくための視点・方策を具体化して体系的に示し、市町村や地域における持続的な管理のあり方を地図化(管理構想図)する取組を推進していくことを想定しています。
人口減少によりこれまで同様の管理が難しくなることが想定される中、持続可能な地域、国土を実現するために、グリーンインフラの考え方も含め、どのような管理が必要なのか。検討状況をご報告します。

【空間横断・その他-D-17】
地形に基づく日本全国の浸水被害予測

発表者:山田由美 (慶應義塾大学大学院)
著者 山田 由美*(慶應義塾大学大学院, 総合地球環境学研究所)
饗庭正寛(総合地球環境学研究所)
秋山祐樹(東京都市大学, 東京大学, 総合地球環境学研究所)
一ノ瀬 友博(慶應義塾大学, 総合地球環境学研究所)
瀧 健太郎(滋賀県立大学, 総合地球環境学研究所)
吉田 丈人(総合地球環境学研究所, 東京大学)

要旨 傾斜やくぼ地などの地形特性から推定された洪水リスク(浸水深)を用いて、全国で予測される家屋被害、居住者被害、農業被害を定量化し、地図上で可視化した。家屋・農業被害額に関しては治水経済調査マニュアル(案)[1]に従い算出し、居住者に関しては家屋に居住する人口を推定した「マイクロ人口推計」[2]を用い算出した。地形的なリスクは人為的に低減し難いため、現況の暴露量を把握し、暴露を減らしていくことは今後の減災対策に欠かせない。降雨確率ごとに示された被害予測は、潜在的に地形や降雨が生成し得るリスクを現在の日本がどう受け、今後避けていくかを見極める重要な情報になると考えている。

【空間横断・その他-D-18】
グリーンインフラ×地域循環共生圏で広がる新しい可能性

発表者:高橋栞 (いであ株式会社)
著者 高橋 栞*(いであ株式会社)
小笠原 奨悟(パシフィックコンサルタンツ株式会社)

要旨 第5次環境基本計画の中で、地域がもつ資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成し、環境・経済・社会の統合を目指す考え方として「地域循環共生圏」が提唱されている。この概念は、自然資源の多面的な機能を活用して地域課題の解決に資するグリーンインフラの概念との親和性が高く、グリーンインフラの社会・経済面の機能の更なる発展にもつながるものである。 本発表では、遊水地や草原などの地域のグリーンインフラを核として地域循環共生圏づくりを一体的に進めている地域の取組事例を通じて、「グリーンインフラ×地域循環共生圏」の一体的な検討によって広がる可能性について検討する。

【空間横断・その他-D-19】
タイ・バンコク近郊における水田・運河境界空間の変容とEco-DRRにおける機能

発表者:小田知紀 (東京都市大学)
著者 小田 知紀* (東京都市大学)
横田 樹広(東京都市大学)

要旨 タイ・バンコク都最東部のラートクラバン区では、沿道の急速なスプロール市街地に、旧来の水田環境とそれが変容した果樹園・養魚池等が運河沿いに混在する。洪水に対して、かつての運河と水田との横断的な接続性は減少し、運河に並行して水田・農家・果樹園等の接続を担うデッキウォークが放棄・撤去されてきている。一方で、雨水を貯留する水田は運河への排水と合わせて洪水調整機能を有し、デッキウォーク自体にも市場へのアクセスやレクリエーションなどの多様な機能が期待できる。本研究では、水田の土地利用変化に応じた運河との境界空間の変容について空中写真をもとに把握し、そのEco-DRRにおける影響と可能性について検討する。

【空間横断・その他-D-20】
茨城県守谷市のスマートシティ×GIの取組み:市民参加促進に向けたスマホアプリの活用

発表者:白土智子 ((株)福山コンサルタント地域・環境マネジメント事業部)
著者 白土智子*(福山コンサルタント)
長谷川啓一(福山コンサルタント)
南崎慎輔(守谷市企画課)

要旨 茨城県守谷市では、グリーンインフラを戦略的に導入し、持続可能な都市成長を目指している。まちづくりにグリーンインフラと共にICTツールの活用、スマートシティ化を同時に推進しており、国土交通省所管の「スマートシティ重点事業化推進プロジェクト」にも選定されている。さらに、市政への市民参加や共同のまちづくりを促すため、市民からのレポート機能を有した公式スマートフォンアプリケーション「Morinfo(もりんふぉ)」が運用されている。
本報告では、上記アプリを活用し、市内の自然資本の豊かさに対する再認識や活用を目的としたグリーンインフラプロジェクトへの市民参加を促進する仕掛けについて報告する。

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